Kiss

□Kiss
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ギョンスはキスするのが好きだと思う。

キスをしようと顔を近づけると表情が柔らかくなって、少しはにかんだみたいに嬉しそうに目を閉じる。

あんまり可愛いから、途中で止まって見つめてみたら、待ちきれず目を開いて不安そうにこちらを見上げてくる。

「ジョンイナ?…」

まん丸な瞳に、ぽてりとした紅い唇、少しうわ上がりの小さな鼻。全てが柔らかなカーブを描いて、囁く言葉を緩やかに俺の中に落とす。

「ねぇ、ギョンスキスするの好き?」

答えなんてわかっているけれど、聞いてみる。

「……わかんない。」

思いがけない返事に戸惑うが、それ位で引き下がる俺じゃない。

「じゃあ、わかるまでキスしてみよ。」






【Kiss】








抱き寄せた体を胸に納め、左手を腰へ、右手を小さな後頭部に絡めて口付ける。

やわく唇を擦り合わせて時々食むと、すがりつくように腕の下から手を回してくる。たまにあたる鼻をくすぐるようにすり寄せ、唇だけでなく可愛いおもてを飾る愛らしい鼻先も丁寧に愛撫する。

かすめるように唇を舌でなぞると、求めるように唇を開く。それでもまだ与えず、何度も食んで、甘え声を引き出す。

「んんっ、ふぁ、ァッ、ふ」

すがりつく指先が俺のシャツを引っ張り、もっと深く、と求めてくる。満足して開いた唇から舌を差し入れ、柔らかな下唇を舐める。唇の内側の、より薄い粘膜を舌で舐めて繰り返し味わうと、気持ち良さげに瞳を潤ます。トロリと潤む目が俺から離れないように上唇に噛み付いて、薄い粘膜に思い出させる。

「アッ、ジョンイ…ナ、」

追うばかりでなく、唇を離して、ギョンスからのキスを催促する。

すがりつく体を抱いたまま、膝にギョンスをのせてソファに腰掛けると、跨るような姿勢が恥ずかしいのか、目を逸らし、俺のシャツを握る。それでも目で催促して待てば、欲望に勝てず俺がしたのをなぞるように一生懸命唇と舌で愛撫してくれる。

「ぁ、はぁ、ジョンイナ、口、あけて…」

固く閉ざした唇に焦れて、甘え鳴きを漏らす可愛い恋人に、意地悪く問う。

「キス、好きかわかった?」

「わかん、ない、よ…」

「こんなに感じてるのに?」

人差し指と親指でギョンスの真っ赤になった唇をつまんで、更に問う。

わざと爪で引っ掻くように熟れた粘膜に爪を立てて、溶ける意識を引き止める。

「だって…こんなキスジョンイナとしかしたことない……キスが好きなんじゃなくて、ジョンイナが好きだから………。ただジョンイナが好きなだけ。…好きで…好きで…だから………」

言いながら、感情が抑えられないのか大きな涙がこぼれ落ちる。ギョンス自身もどうしていいのかわからないようで、目を見開いたままこちらを見つめ、助けを求めてくる。

あまりに可愛い答えに、ソファに押し倒して求められた以上の深い口づけを与える。

「んんっ、ん……ンゥッ」

弱い上顎を尖らせた舌先でなぞりあげる。しびれるほど擦り合わせた唇は内側の粘膜のように、柔らかく、弾けそうにプルリと震える。自分の少し薄めの固い舌と、ギョンスの厚めで柔らかな舌を絡めてすいあげると、夢中になって呼吸さえおろそかになる。

「、ん、くふぅ、、」

そのまま時間も忘れ、

深く、

浅く、

強く、

弱く、

優しく、

酷く、

まるで口づけをやめたら、息が止まってしまうみたいに。
止まることを知らない鼓動のままに、貪り続ける。

「ふぁ…ん…………………。」

気がつけば、クタリと身を委ねたギョンスが腕の中で、意識を手放していた。

「キスが好きなのは、俺かな。」

閉じた瞳に涙を滲ませ、唇を艶かしく濡らして眠る恋人にくすりと笑みを零す。










ギョンスはキスが好きだと思う。それは俺のことが好きだから。

俺もキスが好き。それはギョンスのことが好きだから。

すべては互いに愛し合っているから。

ギョンスがキスを好きかどうかなんて、ギョンスがわからなくても、俺がわかっていればいいこと。

これから先もずっと。

その唇も、その体も、その心も、

俺だけが知って、俺だけを知っていればいい。





ギョンスはただ、俺を好きでいて。





ずっと、




ずっとね。




end

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