Kiss
□Dirty picture
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「ウーファン、手紙が来てるわよ!」
母さんに言われて、差し出された手紙を受け取る。差出人はイーシン。
「今時手紙なんて珍しいわね。だいたいメールで済んじゃうから、そういうのっていいわね!」
母さんは陽気に手紙を羨ましがっている。
昨日パソコンで話した相手からの手紙に、不思議に思いながら開けてみて、すぐにわかる。
参ったな、イーシン、お前に早く逢いたいよ。
【Dirty picture】
「届いた?」
家族のことでカナダに帰ってから、毎日こうしてイーシンとネットで話す。
「あぁ届いたよ。母さんの前だったから、焦ったよ。」
「ハハッ、見られたら困るもんね。」
「まったく、本当お前は。」
「でもこういう僕も好きでしょ?」
「好きだよ。愛してる。」
手紙には一枚のポラロイド写真が同封されていた。そこには扇情的にこちらを見つめて自らの体に手を這わすイーシンの姿が写されていて、一目でどんな写真かわかった。
「僕も愛してるよ。」
写真の下には、
“Take dirty picture 4 me
Send dirty picture 4 me”
(みだらな写真を撮って
やらしい写真を送って)
と走り書かれていた。
「ネット使うのは怖いから、手紙にしたんだ。」
「うまく撮れてる。セルカ苦手な癖に」
「なかなか大変だったんだから。
そっちはどう?まだかかりそう?」
「もう少しかかるかな?早く逢いたい?」
「逢いたいよ。でも、逢えないこういう時間も悪くない。ウーファンのこと思い出して、想像してると、いい曲出来そうだし。」
「どんな曲か楽しみにしてる。」
「あっもう行かなきゃ、じゃあまたね。」
そう言って回線が切れてからも椅子に掛けたまま、写真の中のイーシンを想像する。
しなやかな喉元、薄い肩、行為の時に唇を舐める仕草、細い指で撫でられる感触。俺を虜にするその姿の一片が閉じ込められた写真。
目を閉じれば、余計に欲しくなる。
こんなふうに自分を惑わすのはお前だけ。
あぁなんて奴だ。
「イーシン!クリスから手紙来てっぞ!なんだこれ?絶対他のやつは開けるなって?」
封に書いてある注意書きに首をかしげるルーハンから手紙を奪い取り、
「しばらく1人にして」
そう言えば、「わかった〜」と返事が返ってくる。
部屋に入り封を開ければ、
“Special picture just 4 U”(お前のためのトクベツな写真)と書かれた一枚。
僕の好きな射抜くような強い眼差しで唇を舐めるウーファン。剥き出しの肩に爪を立て、挑発的に見つめるその姿に体が熱くなる。
「ウーファン…」
そうつぶやいて自分の下半身に手を伸ばす。ウーファンがするようにキツく握れば、体が跳ねて、すぐにその感触を思い出す。
『イーシンはやらしいな。もうこんなに零して。』
『痛いのまで感じるのか?淫乱』
『まだだめだよ。俺が満足するまで離さないよ。』
淫らに強引に束縛するウーファン。痛みも快感も、全部自分に教えた彼。
写真のウーファンに見られながら、自らを高め、熱を解放する。
こんな彼のカケラじゃ全然足りない。早く逢って、思うままに乱されたい。
だけど我慢した分きっと彼はご褒美をくれるから、今は写真で我慢する。
写真の彼を見ながら、ご褒美に何をしてくれるか、目を閉じて想像する。
こんなふうに自分を溺れさせるのは彼だけ。
早く帰ってきて、ウーファン。
end
順番がバラバラですが、これが初めて書いたクリレイです。
私のクリレイイメージはこんなです。どSクリスとはんなり従順Mなレイって…私何言ってんでしょうね^_^;まぁそんなイメージです。リクエストとかあればまた書いてみたいなって思います。
ちなみに今回も洋楽からインスパイアされたものです。BGMはタイオクルーズの“dirty picture”。これはクリスっぽい曲かな?ぜひ歌って欲しい!ビートが効いた中毒性のある曲ですので、聞きながら読んでもらうとピッタリです。