Kiss

□Repeat after me
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「今日のルハニヒョン、メイクだいぶ濃いですね。まるで別人みたい。」

今日はSMタウン東京二日目。

ルハニヒョンが踊るLuciferを幕下で観ながら、隣のミンソギヒョンに声をかけるが、全く聞こえてないみたいに、頭上の彼に釘付けになっている。

『これ、撮っといたげよ。』

そう思って、携帯で録画を始める。それでも気づかないミンソギヒョンに、本当、純粋だなぁと優しい気持ちになる。











【Repeat after me】











「ルハニヒョンにいいものあげます。さっきメールで送っておいたので、後で見てください。」

SMTOWNのエンディングで横に来たセフンが、こっそり耳打ちしてくる。

「何?なんか面白いもんでもあった?」

「おもしろいというより、嬉しいものかな?ま、後のお楽しみです。」

「?」

何か気になるが、とりあえず、エンディングの挨拶に、2人集中することにして、フンハン全開で走り出す。








楽屋に戻り、メイクもそのままにホテルへ向かう。明日には韓国で仕事があるため、またすぐに日本を出なければいけない。

『あー、本当はシウちゃんとどっか日本観光したかったな。』

そう後ろ髪がひかれるが、仕方ない。
日本でのパフォーマンスも好評で、みんなが自分達の曲を一緒に歌ってくれた。それもこれもやはり一生懸命一つ一つの仕事をしてきた結果だろう。
だから今は仕事を頑張らなくては、と自分に言い聞かす。

ああーでも疲れた、と深くシートに身を沈める。

そういえば、さっきセフンがなんか送ったって言ってたな。思い出して携帯を出して確認すると、動画が添付されていたので開いてみる。

あれ?シウちゃん?

動画には何かを見つめているシウちゃんが映っている。息を飲んで、吸い込まれそうに魅入っているその表情は、とても綺麗。まるで“恋した瞬間”を切り取ったみたいだった。
見たことないシウちゃんの表情に、そうさせたものに嫉妬を感じる。続きをみると、シウちゃんの視線に合わせて徐々に移動する映像、そしてその先には、

………………俺?

シウちゃんが魅入っている視線の先には、さっきLuciferで代打を務めた俺の姿。

カァーーーーッと顔が赤くなるのが自分でわかる。自分で自分に嫉妬してたなんて!

ステージで真剣にパフォーマンスしていて、気づかなかったけど、観ていてくれたんだ。

自分の知らないところで、こんな表情で想われていたことを知って、嬉しくなる。
思わずにやけていると、

「これ…俺だよな?」

「うわァッ‼︎」

さっきまで隣で寝ていたシウちゃんがいつの間にか目を覚まして、携帯を覗きこむ。

「あー…と、うん。セフンが撮って送ってくれた。なんか、すっごい集中して観ててくれたんだね。嬉しい。俺かっこ良かった?」

「カッコ良かった。普段一緒にパフォーマンスしてると、ゆっくり見られないから、見惚れちゃった。」

そんな素直に返されたら、ここが車の中ということも忘れて襲いたくなる。シウちゃん、俺の理性を試さないで!

「俺をみていてくれるシウちゃんも綺麗。いつもこんな風にみていてくれてるって知って、すごく嬉しい。」

なんとか理性を保ちながら返すと、柔らかい感触が口を塞ぐ。ビックリして見つめ返すと、恥ずかしそうに離れてしまう。

「俺だってお前を襲いたくなることあるんだぞ?」

いたずらに笑う笑顔に魅了される。

「さ、もう着いたみたい。ルーハン?せっかくの美男子がほうけてるとアホみたいだよ。」

「あっひどい!じゃあシウちゃんだけの特別な俺を…」

「それは、後で。忘れ物するなよ!」

そう言って他のメンバーを起こしに行く。








本当、まだまだわからない。長く一緒に暮らしていても、知らない君がこうやって時たま顔を出す。その度に俺はまた恋に落ちる。

繰り返す恋心。

君も同じように恋し続けるよう、とびきりのスマイルを浮かべて立ち上がる。

何度でも恋に落ちよう。

Repeat after me!

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