Kiss
□まじない
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砂時計の砂みたいに、
空から降りてくる雪のみたいに、
舞い揺れる花びらみたいに、
降り積もって
君の全てを
覆いつくしますように。
【まじない】
今日も僕はまじないをかける。
“セフナ、キスして”
“仕方ないな”
毎夜繰り返される蜜事。重なる唇。
“セフナ、好きだよ”
“僕はまだわからない”
繰り返される睦言。躱される甘言。
砂粒みたいに小さくて、雪みたいにあっという間に消えてしまう、花びらみたいな儚い期待。
だけどまだ君は気づいていない。
少しづつ少しづつ、君の足元を覆っていること。
何度も何度も繰り返す。
砂粒みたいに小さくて、雪みたいに消えそうな、花びらほどの脆いこの願いが君の全てを覆い尽くすように。
“アブラカタブラ、早く彼が僕のものになりますように”