Kiss

□Bathing Panda
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【bathing panda】

お風呂にお湯を張る音、パタパタと動くパンダもといタオの音にそろそろかな?とセフンはゲームをセーブする。

「ねぇ、セフン、一緒にお風呂入ろ。シャオルーからね、可愛い入浴剤もらったの。だから、ねぇ、一緒に入ろ?」

今日は珍しくホテルに一泊することになり、本当はタオの同室はミンソギヒョンだったけど、「1人でお風呂に入りたい」という理由で、急遽僕とタオが一緒の部屋になった。

とてもそのクールな風貌からは想像つかない、ふにゃふにゃでたどたどしい韓国語でタオに話しかけられ、なんとなく意地悪したくなった僕は、

「1人で入りなよ。それかクリスヒョン呼べば?」

と意地悪く言ってみる。というのも、ちょっと前から、急にタオが僕とは一緒にお風呂に入ろうとしなくなったからだ。ちょっと前まであんなにベタベタくっついてきたのに、今はクリスヒョンのところにばかり行く。別に一緒にお風呂に入りたいわけじゃないけど、なんだか面白くなくてつい意地悪をしてしまう。

「だいたい、最近僕のこと避けてたのはタオでしょ?部屋だって嫌ならルハニヒョンにでも頼んで代わってもらうよ。」

あぁダメだ。こんなことまで言うはずじゃなかったのに、一度言葉が零れたら堰を切ったように続いてしまう。
いつもはこんな風に怒ることなんてないのに、タオのことになるとなんでか止められない。

しばらくすればどっか行くだろうと思っていたら、

「そんなこと言わないで…ヒグッ…、タオのこと…嫌い?イヤ?」

見るとボロボロ泣きながらも、こちらから目をそらさないタオの目と合って、思わず
抱きしめそうになるけれど、まだ僕を避けてた理由がわからないから、

「泣くなんてずるい。理由を言わないなら、仲直りはダメ」

そう突き放すように言う。

「言うから…一緒にお風呂入ってくれたら言うから…」

なんでそんなにお風呂にこだわるのか、さっぱりわからないけれど、

「わかった。じゃあ先行ってて。僕も着替え用意するから」

とりあえずタオをお風呂に促し、着替えを用意しながら考える。なんでタオは僕を避けてたのか?なんでお風呂にあんなにこだわるのか?
答えは扉の向こうのすぐそこにあるのか。




「これ、すごいな。」

浴槽一面にハートの花びらみたいなのが浮かんで、乳白色のお湯をバラ色にそめあげたそれに驚いていると、タオが嬉しそうに湯船の中で笑う。

「これね、セフンと一緒に使いなってシャオルーがくれたの。すごいよね。」

無邪気はしゃぐタオが可愛いなぁなんて思うけれど、顔にはださない。

「で、なんで僕のこと避けてたの?」

体を流して単刀直入に切り出すと、さっきまでのはしゃぎぶりが嘘のように急に黙り込む。少し待ってもなかなか言わないタオにしびれを切らし、ため息をついて扉に手をかけると、消えそうな声が聞こえた。

「………ぁの」

「なに?」

「ぁのね……たぶん、セフンのことが好きなの。」

「は?じゃあなんで避けるの?」

問い詰めて促せば、こういうことだった。一緒にお風呂に入った時、僕をみてドキドキして、急に恥ずかしくてしかたなくなったと。これは誰にでもなのか疑問に思って、みんなともお風呂に入って試してみたけれど、ドキドキするのは僕に対してだけだったと。結果僕とだけ一緒に入らなくなったというわけだ。

「それでね、ウーファンとシャオルーに相談したの。そしたらもう一度一緒に入って確かめてみろって。それでシャオルーがこれくれて、セフンにもドキドキしないか聞いてみろって…」

そう言われてタオを見れば、やっぱり泣きそうな顔で、抱きしめたくなる。
潤んだ瞳に、蒸気した頬、紅く染まった唇、その全てに急に心臓が動き出したみたいにドキドキし始める。

「ねえ、少し詰めて、僕も入るから。」

湯船に入ると、よりタオとの距離が縮まって、お互い言葉がでてこない。

「ねぇ、さっき僕のこと”たぶん好き”っていったよね。本当に好きか試してみない?」

そう言うが早いか、タオを引き寄せて口付けてみる。びっくりして動けないタオをいいことに、初めて触れるタオの唇を確認するように味わう。

「あぅ…ふっ……んん」

唇を柔らかくはんだり、たまに軽く舌先を噛んでやると、甘い声をこぼしながら、一生懸命に僕に応えようとすがってくる。

「んぁっ…あっやっ」

抱きしめてる体も触り心地がよくて、そのまま指を滑らせていると、タオが身をよじらせて逃げようとする。

「イヤ?嫌ならもう触らない」

パッと体を離せば、さっきとは違う熱に涙する目で、

「やじゃなぃ。でも恥ずかしい。それにセフンは?」

「わからない。だから今度は僕が確かめさせて。」

すぐにまた唇を塞げば、恥ずかしそうに、でも自分から舌を差し出す。何度も何度も、もう互いの唇の境がわからなくなるほどキスを繰り返し、その肌の隅々まで指を這わせる。

どれくらいそうしたか、急にタオがくったりしたから唇を離すと軽く気をやってしまったようで、慌ててベッドに横たえてやる。

風邪をひかないように整えて、横に寝ると、甘えたようにすり寄ってくる。ついこの間までのイライラはすっかりなくなって、今はただただ愛おしいと思う。

あぁ好きだったんだと、納得すれば、全ての辻褄が合う。タオにだけは優しくできないのも、タオが誰かとベタベタしてるのが面白くないのも。全部好きという感情からだったんだと。

気持ち良さそうに寝てるタオにキスを降らせ、セフンは微笑みながら思う。



僕も好きだよ。

でもまだ教えてあげない。

だって僕を振り回したんだから。

もっともっと僕を求めればいい。

『たぶん』なんてつかないほど。

なんの迷いもなく僕を求めなよ。

本気で欲しがって。

タオの全てが僕のものになったら





僕をあげる。


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