Kiss
□我餓了
1ページ/1ページ
「我餓了…」
隣で本を読むウーファンにもたれて、触れる腕に頬を寄せ、視線に熱を絡める。
甘えた声に本を閉じて、僕の額にキスとともに落とされる声に胸が高鳴る。
「おいでイーシン、お腹いっぱいにしてあげる。」
【我餓了】Feel hunger
ベッドに手を引かれ、楽しそうに聞かれる。
「どこから食べたい?」
「じゃあまずはここ。」
ウーファンの長い腕が好き。逞しくて、抱きしめてくれるときに力が入って硬く張る感じがたまらない。
唇を這わせ、張りのある筋肉を味わう。少し日に焼けた外側を唇で撫でると、 ふわりと色香が漂いはじめる。
「美味しそう。」
内側の柔らかいところを腕のつけ根に向かって舐めあげる。一層男らしい香りが感じられて肩に鼻をついてその香りをたっぷり吸い込む。
「まだ、前菜だよ。」
ふふっと笑う震える喉元に舌を這わせて、その骨の隆起をなぞりあげる。
「もちろん、こんなんじゃ足りない。」
そのまま耳のつけ根まで辿り、ピアスをつけたままの耳にかじりつく。
「ん、これ邪魔。」
「これは失礼、王子様。」
舌に当たる固い感触が嫌で、舌で耳の彫りをなぞりながら言うと、ピアスを外してくれる。
薄い耳のくぼみに歯を立てて、ピアスの穴に犬歯を食い込ませる。
「はぁ…、イーシン、美味しそうだな。」
男の色香に獣じみた香りが混ざり、もっと食欲をそそる。
「美味しい…。次はこっち。」
指をシャツの合わせにかけてクイッと引っ張ると、ボタンを外してくれるからそのまま掌で胸を柔らかく包み、親指で小さな頂きを弾く。
「ふっ、」
感じるウーファンの吐息が絶妙なスパイスとなって、好奇心を満たしていく。
両胸に手を当て唇を味わうと、乗り上げた体の下に次のご馳走を感じて、喉が鳴る。
「ん、熱い…、」
「あぁ、お前も…」
口付けながら腰に回された手で強く抱き寄せられ、互いのそこがこすれ合う。
それだけで体の奥がじんとする。
体をずらして指で弾いた胸を唇で挟んで吸い上げる。自分がしているのに、まるでいつもされていることを辿っているみたいで、体が自然と粟立っていく。
そのまま下へとキスを重ねておりて行き、ジーンズの上から熱くなった彼に口付ける。
「どんな食べ方がいい?」
優しく髪をすかれながら尋ねられ、うっとりと目を閉じてその感触を楽しむ。
「シェフのオススメは?」
熱いそこをくすぐりながら問えば、優しい眼差しのウーファンが僕の唇に親指を這わせて何か思いついたように囁く。
「じゃあ、まず下ごしらえしないと。」
背中に手が回されて、ゆっくり後ろに倒される。覆いかぶさるウーファンが口付けを深くして、すでに熱くなった僕の体に指を滑らせる。
「ん、はぁ。」
確かめるみたいに一つ一つ優しく触り、楽しそうに柔らかな笑みを浮かべる。
「な、んか…ウー、ファ嬉しそう。」
「可愛い恋人が求めてくれるんだから、嬉しいに決まってる。
それに俺もおなかすいてたから。」
いたずらに笑い、僕が触れた場所を同じように辿っていく。
はだけた服が落とされると、僕だけ何も纏わない姿なのが恥ずかしくて、足を閉じようと膝を寄せる。
「イーシン、味見させて。」
甘えるようにイタズラな眼差しを向けると、一気に僕の足を掴んで高く掲げてしまう。
「や、はずかし、い!」
くちゅり、と抱えた腰の中心で蜜をこぼすそこを舌で捉えられ、羞恥心に身をよじる。
逃げる腰を折りたたまれ、さらに上下に舐め上げて口に含まれると、快感でまだ触れられていない奥までヒクついてしまう。
「んんぅ、やぁ、」
「ん、美味しい。こっちは?」
たっぷり舐め上げられ達しそうになったそこから唇が離れ、止める間も無く奥へと這わされる。
「や、ウーファ、ン、やだぁ、」
「ダメだよ、ちゃんと下ごしらえしないと。」
意地悪な笑みを見せて、舌を中に突き入れられる。
中の襞をほどくみたいにぐちゅりぐちゅりと唇と舌で広げられていく。
恥ずかしいのに、快感で為す術もなく、シーツを握りしめて達してしまいそうなのを堪える。
「ウーファ、だめ、いっちゃ、うぅ」
口で奥を舐め上げられてイくなんて恥ずかしすぎて、やめて、と訴える。
「じゃあ今日は許してあげる。」
「ひ、く、」
「泣かないで。泣くほど気持ち良かった?」
「ばか、」
「あっ、聞き捨てならないな。」
長い指がぐちゅぐちゅに溶けたそこへ沈められる。
「あ、やぁ!」
「まだ足りないみたいだから、もう少し可愛がってあげる。」
口角を上げて言うと、前を片手で戒められ、もう片手で奥を掻き乱される。
「あ、、ん!イきた、や、手、離し、て!」
「イきたくないんじゃなかった?」
「ちが、やだ、や。いっちゃう、」
溶けきった奥の1番感じてしまうところを指で押しつぶされて、イケないのに、過ぎる快感が限界を迎えてしまう。
「あ、ひん!んんぅ、、も、やめ」
出せないままイキつづける体がさらにいたぶられ、ウーファンの腕に爪をたてる。
吐き出せない熱が体の奥にたまり続け、その熱が自分の身を焦がす。火傷したみたいに奥が焼かれて熱さに疼きが止まらない。
「おねが、、ウーファンじゃなきゃ、いやぁ!」
泣いて、お願いしてやっと許してもらえる。
「2人で、じゃ、なきゃ、みた、されな、い、ん、」
「ごめん、イーシン。可愛くてついいじめちゃうよ。」
「いじめ、ないで。も、ほし、いよ。」
どんなに感じても、熱を吐き出しても、もうウーファンに身体を繋いでもらわないと満たされない。
「早く、満たして、。」
後ろから抱きしめられ、高く上げられた腰に手が添えられる。濡れそぼった蕾にウーファンの熱が当てられると、自らそこを誘うように押し当てる。
寝台に額を擦り付け、ウーファンに押さえられた手に、震えながら身を犯す凶器を受け入れる。
「うそ、や、だめぇ、」
ゆっくり奥まで埋められていく充足感だけで、堰き止められていた熱がこぼれ出してしまう。抑えたくて足の内側に力を入れようとすると、ウーファンに足を開かれ止められない。
「いいよ。たくさんあげるから、いっぱい出して。」
腰を高く上げさせられたまま、止められない熱を促すように指を絡められ、きつくされるたびに奥を締め付けて感じてしまう。
「あぅ、あぁ、」
「食べ頃だな。」
勢い良く後ろから突き立てられて、息ができない。快感が怖くて足を閉じたくても、ウーファンの体がそれをさえぎり、開かれた体をさらに拓かれる。
逃げることも許されずただ快感を受け入れるしかない体が辛いのに、心は満たされていく。激しい突き上げに視界が歪み、体が軋む。
ふいに甘い責め苦が止まり、涙で濡れる眦を舐め取られる。
「イーシン?辛い?」
いつもやり過ぎてから聞くウーファンに、惚れた弱みで全て受け入れてしまう僕は安心させるように答える。
「大丈夫…。もっと、食べさせて…。」
ぐちり、とそこが抜かれて、体を労わるように向かい合わせに抱きしめられる。
「ごめん。俺ばっかがっついて。教えて、どういうのが好き?」
「……キスしながらが好き。」
ふたたび体内をいっぱいに満たしながら、漏れる甘え声をキスで啄ばまれる。
「ん、それ好き、あ、、好き、」
「イーシン、可愛い。」
さっきまでの激しい行為で爛れたみたいにじくじくと疼くそこをゆっくりウーファンにこすられて、無意識に腰を揺らしてしまう。
「美味しい?腰が揺れてるよ。」
「あっ、だって…あぅっ」
「可愛いイーシン、たくさん食べて。俺も満たされるから。」
そのまま口づけながら何度も中を愛され、奥まで濡らされて、渇きを癒される。たっぷり注がれる熱に体内が喜んで、吸い尽くすように彼を咥え込む。
この餓えも渇きも、癒せるのは彼だけ。
だって飢えるのも渇くのも、ただ彼1人にだけだから。
「あっ、」
何度目かの性を奥に注がれ、抜き出されるといっぱいになった体内から多すぎる蜜が溢れる。白い肌を伝う蜜をウーファンの指が辿って蕾をくすぐる。
「いっぱいだな。たくさん溢れてくる。」
プチュリと指が中に差し込まれ、掻き出すようにそこを開くから、どんどん零れてきてしまう。
「み、ないで、」
恥ずかしさからお願いしても、やめてくれない。
「すごいな。こんなにいっぱい食べたの?」
自分がしたのに、辱めるように言われて恥ずかしさが増す。
「ウーファンが、」
「ふふ、お腹いっぱい食べたから。イーシンが美味しすぎて。イーシンも満たされた?」
「う、、ん…」
「?、まだ足りない?」
「ちが、多すぎるよ!」
「イーシンは少食だから。」
違うよ、僕はたぶん普通だよ!ウーファンが多すぎるんだって!
言おうとした口をウーファンが塞ぎ、くすりと笑いながら耳元で囁く。
“ごちそうさま”
あれ?食べるのは僕だったんじゃないっけ?
苦笑しながら囁き返す。
“どういたしまして。”
大好きなウーファンの腕に頭を乗せて素肌の胸に抱き込まれる。
お腹いっぱい食べたから眠くなってくる。
行為の後の男らしい彼の香りに包まれて、そのまま目を閉じる。
“ごちそうさま
でもちょっと食べ過ぎたかな”
美味しい彼につい我慢できない。
僕を餓えさせるただ一つの存在。
僕を満たすただ一つの存在。
また食べたくなったら、彼に囁く。
“我餓了”
(おなかすいちゃった)
end