Back at one(with Changjo 2015.8.19 up
□One
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One 君は叶った夢のようだ
Two ただ君と一緒にいたいんだ
Three 君が僕にとってただ一人の女の子であることは明らかだ
Four1,2,3とダンスのステップを繰り返して
Five 君を僕に夢中にさせたい
もし僕のするべきことをやり遂げたと確信さえすれば
僕はもう一度最初(one)から始められるんだ
「ねえ、私たちは最初で最後よね」
そう笑った唇で
何度もオレの名前を呼んだ唇で
「お互いの利害が一致して、良い思いができたんだから、それで良しとしましょう」
呆気なく終わりを告げられるのはどうしてなんだろう?
「ジョンヒョナ、ゲートは7番だよ」
呼び止められて居なければ、きっと歩き続けていたはずだ。人のごった返す年末の空港、さざ波のように聞こえる人々の話し声は、どれも自分には関係無い。
「本当に行くの・・・?」
立ち止まって振り向いたオレを見る二重瞼。被った帽子を1度かぶり直して
「せっかくの休みに実家に帰らないなんて、オンマが泣くかもよ」
低い呟き、その響きには心が揺れたけれど・・・
「でもきっと帰っても泣かれる」
「う〜ん・・・」
大袈裟に腕を組んだ同ライン。メンバーがそれぞれ仕事を理由に来られない中、無理矢理(マネージャー泣かせだ)スケジュールを空けて来てくれる彼の気持ちが有難い。自分も、初めてのミュージカルの練習で余裕も無いだろうに。
「・・・10日だけだし」
「そうだね」
「帰る時にまた連絡するから」
「向こうで金髪美女に引っかかるなよ〜」
「引っかかるか!」
つい、力が入ってしまった。ちょっと大きくなった瞳が、すぐに細くなり
「ごめん・・・」
小さく項垂れて、彼は持っていた紙袋を差し出した。
「みんなからだよ。機内で開けてって」
押し付けられたそれは適度な重さが有るけれど、ほぼ手ぶらの状態で邪魔にはならない。
アナウンスが呼んでいる。19:30分発・・・
「じゃあ、行くから」
「気を付けて!」
パチンと掌を合わせて、踵を返す。武者修行といえば聞こえは良いけれど、傷心旅行とでも言い換えられるのかも知れない。
見慣れた街が遠くなる。
いつもはうるさい周りが静かだ。
イヤホンを耳に入れて、先程の紙袋を漁っていたら、炭酸飲料のボトルを見付けた。
気付くべきだった。
これをくれたのが、メンバーであるということに。
「うっっっっわ!!!」
蓋を捻ると溢れる白い大量の泡。甘い香り。聞こえてきそうな笑い声。
慌てるオレのすぐ上で、機上独特の騒音に紛れてアナウンスが告げている
この度は・・・・航空・・・
ニューヨーク行きをご利用頂き
誠に有難うございます・・・