Seven colors , first impression
□歓迎会。
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宿舎の玄関を開ける。
「ニエルヒョン〜〜〜!!」
昨日枕元に置いてきた怪獣のマスクをかぶったリッキー(だと思う)が出迎えた。
朝起きた時、廊下の端まで響くような大声で驚いてくれた。
本当に期待通りで、笑わせてくれた。
「・・・」
「・・・」
真綾の訪問は頭に入っていなかったらしい。
お互いに固まっている。
「・・・・ぶっ・・・」
先に吹き出したのは真綾だった。
顔をくしゃくしゃにして爆笑する彼女に、マスクを脱いだリッキーが恥ずかしそうに挨拶をした。
「・・・いつもこうじゃ無いんだけど・・」
「いや、いつもこうだよ」
「ニエルヒョン!!」
やりとりがまた笑いを誘ったようだ。
コロコロと鈴みたいな可愛い笑い声にみんなが顔を出す。
「何?どうしたの?」
「あ・・・」
「リッキー?」
「・・あ。おはようございます」
目尻の涙を拭いながら言う真綾に、それぞれ挨拶をした。
緊張を緩めるのに、笑いの効果は絶大。
一気に親近感が湧く。
彼女の柔らかい雰囲気がそれを後押ししていた。
降った雨が地面に染み込んで行くように。
真綾は彼らの日常に溶けた。
「すいません。遅れました」
そう言って、いつまでも慣れない雰囲気をまといながらマネージャーが現れたのは、昨日言われた予定時刻の1時間後だった。
「あの人はホントにいつでもアレだね・・・」
エルジョがメイクをしてもらいながら呟く。
テレビの収録に間に合うように余裕を持っての行動なのに、いつもギリギリじゃん。
しかも悪びれない。
何回もする。
信じられない。
尖る唇に、自然な色の口紅を乗せれば「女の人より美しい」と評される目元が印象的なエルジョメイクの完成。
「オレが免許取ったら絶対自分で運転する」
チョンジが白い衣装に袖を通しながら言った。
「チャニヒョン免許取るの?」
リッキーが聞くと、
「取ったらの話」
成る程。
予定は未定か。
「免許があったら便利だよね」
ニエルは鏡を見て、ネクタイの位置を直す。
「真綾ヌナは持ってるのかな?」
誰かが言った。
車の免許を取るということは、大人の証。
誰かを頼らなくても、昼でも夜でも好きな時に自分の手でそれを運転して、どこまでも出掛けて行ける。
そんな憧れ。
その分の責任は付いて回るんだろうけど。
「帰ったら聞いてみようよ」
ニエルの提案に、空気が和らいだ。
楽屋の扉の向こうで、スタッフが声をかけている。
「行きますか!」
ケプの声に、みんなが頷き返した。