Walk by・・・(with C.A.P 2013.11.22 完結)
□気がつけば。
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Nuna side
初めて見た君は、ひどく不機嫌そうだった。
長めの前髪から覗く、切れ長の綺麗な瞳。
喋ると見える八重歯。
図書室にやって来る学生は少ないから、自然と名前と顔を覚えてしまう。
今思うと、あの表情は不機嫌だったのではなく眠かったんだろう。
何となく、生活の中に君のキャパが増えて、放課後が楽しみになる自分に気付く。
そして、本を読みながら、うとうととまどろむその微笑ましい横顔に、頬杖が外れて慌てるその可愛らしい仕草に。
目が離せなくなっていく。
自分の年を考えると、気持ちを抱くこと自体がいけないことのような気がして。
見てるだけで良かったのに。