カゲプロ
□とある蛇とお姫様。
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悲劇は終わり、物語は幸せな結末を迎えた。俺ークロハはなんとまあ不思議な事にメカクシダンとかいう意味のわからん団体にこいつらの好意で入らせてもらえる事になった。まあ、そこでわかった事はーー
「ねえ、クロハ、髪の毛結んで?」
こいつら、アホだ。
とある蛇とお姫様。
「おだんご!おだんごがいいな!」
「はいはい、わかりましたよ女王ー」
アホ筆頭はこいつ、元女王マリーだ。こいつはわかっているのだろうか、俺が何度もこいつの大事な人間を傷付けたことを。
(まあ、ほいほい言いなりになる俺も俺だけど)
くるくると手慣れな手つきで髪をいじると、あっというまに二つのお団子が出来上がる。
「ありがとう!…かわいい?」
ぐっと上目遣いで、至近距離で、俺を見上げる。
「かわいいですね、お団子が」
「うー…」
アホか!かわいいなんてそんなの言えるわけないだろ!
もちろんお団子はともかく女王はとても可愛かったわけだが。
ーーだめだ、俺もだんだんアホになってきている気がする。
ペースにのせられてはダメだと思いながらも、彼女の前だとどうもだめだ。勝手に顔が赤くなるし心拍数があがる。腹が立つ。
この感情はなんなんだ?と、思いつつもそのもどかしい気持ちがたまらない。
ーーおれ、気持ち悪い。
幸い他の団員は任務でアジトにはいない。危険な任務らしく女王は連れて行ってもらえないことむくれていた。
「いっつも私だけおいていって、ずるいよ、みんな」
彼女は気付いていないが大事にされているということだろう。最も、正直なところ足手まといになるという部分も、理由の一つなのだろうが。
「ねえ、クロハ、紅茶のむーってひょえええええええ!」
「ば、ばか!」
なにも無いところですっ転び、手にもっていたカップをぶちまける。
ばっと彼女に覆いかぶさったのはいいものの、
がっしゃぁぁぁぁぁぁん
「ひいいいい、ごめんね、ごめんね、ごめんね…!」
……体がべとべとする。