カゲプロ

□その顔はきっと
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ああ、なんて、悲劇的で、バカらしくて、なんて、なんて







「なんで…どうして…っ」
なんども見たはずの光景であるはずなのに、貴方はいつもそうやって泣いている。なんて愚かなんだろう。

足元の緑色のパーカーを踏みつけ、彼女に向かって私はニコリとほほえむ。

「いやあ、なんてお可哀想な女王!またも大切な人をなくしてしまうだなんて、「その足をどけてよ!」

白い髪をうねらせ、彼女はギロリとこちらを睨みつける。


赤い目。蛇のような髪。彼女をみたものは誰でもこういうだろう。



化け物、と。



「あぁ…女王。そんな顔をしなくても良いではありませんか!どうせここにあるもの、いえ…人間は皆死んでいるのですから!また同じ世界を繰り返せばよいのです。ねぇ?」


顔を近づけ微笑むと、きっと他の者たちには見せないであろう形相で、こちらをにらむ。

よほど嫌われているのだなと感じるものの、ショックなどうけない。

彼女は自分にとってカゲロウデイズを作り出すための道具なのだから。



何十回、何百回とこの世界を繰り返す。その世界の中でいつも彼女は笑顔だ。

ー私には絶対に見せることのない。

人見知りだけど、好奇心旺盛。
か弱いくて、いつも守られている少女。


彼女をいつもまもってるあいつらが、この娘のこんな姿をみたらどう思うのだろう。

(もっとも、この世界ではもう彼女とあいつらが会えることは無いのだろうけど)


「貴方の大好きな彼らが真実をしったらどんな顔をするでしょうね?この世界を作っているのが貴方だと知ったら?貴方の事を嫌ってしまうかもしれませんね?」

「あなたのせいでしょ…!?なんで皆を傷つけるの…私はただ、皆と一緒にいたいだけなのに…っ」


悪意にゆがむ表情。こんな顔を私以外に見せたりするのだろうか。
いや、きっとないだろう。
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