カゲプロ
□ループサウンド
1ページ/3ページ
題名は忘れた。だけどそんな感じだった気がする。
ループサウンド
「貴音っ、何聞いてるの?」
遥がいつもの笑顔で私に話しかける。片手にはアンパン、もう片方にはジャムパンを持って。
「あんた、食いすぎじゃない…?
ただの歌よ、ただの」
私はぶっきらぼうに答える。クルクルとコードを片手でもてあそびながら。
「歌かぁ…。でも僕、あんまり機械から流れる音って好きじゃないんだよなぁ…。なんだか怖くて」
「なに言ってんのよ。いっつもこういうのでゲームしてんのはどこの誰よ」
「あっ、そうだね!たしかに!」
今思えば、アイツがそういう機械を嫌ったのは、白くて暗いあの病室を思い出してしまったからかもしれないな。
「…聞いてみる?今日はヘッドホンだけじゃなくて、イヤホンタイプももってきてるから」
私は片方のイヤホンを遥に差し出した。
「え、いいの…!?ありがとう!」
これだけでこんなに笑顔になるなんて。単純すぎて
ほんと、むかつくのよね。
「うわぁ…これほんといい曲だね…!僕、すきだなぁ…!」
私の気持ちも知らないで。
遥、
すきだよ。