【黒バス】絶望少年夢を視る【黒子嫌われ】

□些細なキッカケと疑い
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「・・・!またかよッ・・・」


日向が部室の扉を開ければ、その惨状が瞳に映し出される
散乱した部員の私物に、ひっくり返ったベンチ。
ロッカーなどが壊されている訳ではないものの、まるで嵐が通ったうような有り様だ


ここ最近部室が荒らされている
それも、かなりの頻度で
日向が深い溜め息を吐いて、部室に足を踏み入れて気づく
壁際に、カタカタと怯えるように震える人影が一つ
女の子らしい曲線が、破かれた制服から覗いている

「なっ・・おい、大丈夫か!?」
「ひぃッ・・・!?」


思わず日向が彼女の肩を強く掴む
彼女・・バスケットボール部マネージャーの小池美海がびくんと肩を跳ね上がらせる
生憎日向は女性の扱いに慣れておらず、
はらはらと泣く小池を目前に困ったように眉を下げる


「あれ、日向どうしたんだ?」
「って・・うわああああ!また荒らされてんじゃん!」
「やだ・・・ちょっと小池ちゃん!どうしたの?!」


ぞろぞろとやって来た伊月、小金井、相田を見て日向がほんの少し安堵する
相田が瞬時に状況を察して、木吉のロッカーを開けると小池に羽織らせた
彼女を保健室に連れて行くように伊月に指示し、自分も彼女について行くから部室を片付けるように日向達に言い残しその場を去った



「小池ちゃん・・・どうしたの?何があったの?」
「あ、相田さッ・・・・私・・・!」
「無理しないで、ゆっくりでいいわ。言える?」


怯える彼女の背をそっと撫で、相田が問う
伊月は少し離れてその様子を見守った

「早めに、部室に行って・・・準備、しよッ、とおも、たらっ・・・
く、・・・・黒子、君がっ・・・・部室荒らしてッ・・
それ、で止めようとしたらッ・・・」


殴られて、蹴られたんです。と
泣きながらそう言う彼女の言葉に動揺する
まさか黒子くんが?
そんな筈ない、と思いつつも泣きながら必死に訴える、腹部などに真新しい青痣が出来た彼女の言葉は確かな信憑性を孕んでいた
黒子に対しての疑いが芽生える

「・・・そ、う・・今日はもう帰りなさい。
私が送るから。伊月くんは部室に戻って片付け、そのあと練習ね」
「ああ」
「あ、りがと・・・ござい、ますッ・・・」


俯き、両手で顔を覆う彼女の口元がニヤリと歪んだ


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