OP小説

□ひろいもの
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子供は、触った瞬間にわかるほど熱があった。そのまま自室へ向かい、ドアを閉めた。とりあえず、湿っているシャツを脱がせ、自分の服を着せる。そして、ベッドに寝かせると氷嚢を頭に乗せた。しばらくすると、穏やかな寝息が聞こえてきたので、部屋の外に見張りを立てて食堂へ向かった。とっくに昼を過ぎていた。だが、あまり腹はすいていないので、飲み物だけをもらってまた部屋に戻った。

ドアを開けると、ほんの数分しか部屋を開けていなかったのだが、すでに子供は起きていた。
「おい、もう少し寝ていろ。」
そう言ったが、どこか不安げな様子でローを見ていた。
「はぁ‥‥」
ローはため息をつくと、ベッドの枕元にイスを持ってくると、そこに座った。
「お前が起きた時までここから動かねぇ。それでいいか?」
そう言うと、軽くうなずいて布団に入り、目を閉じた。しばらくすると、また穏やかな寝息が聞こえてきた。ローはそれを確認すると、持ってきたコーヒーを片手に本を開いた。



1日たった日の夕方、ローは朝からずっと同じ姿勢で本を読み続けていたが、少し眠気が襲ってきた。子供の顔を見やると、まだぐっすりと寝ている。それを確認すると、本に栞をはさんで軽く目を閉じた。


子供は目が覚めると、見覚えのない部屋に驚き、慌てて起き上がった。すると、人の気配を感じ横を見ると、そこには寝る前に見た男がいた。
「‥‥‥‥お兄ちゃん?」
その声で、ローは目を覚ました。
子供が起き上がっているのをみると、子供に向かって言った。
「悪いな、ここにはお前のお兄ちゃんはいねぇ。」
すると、子供は首を横に振って言った。
「違う、お兄ちゃんいない。」
「じゃあ、なんでお兄ちゃんなんて言ったんだ。」
そう、ローが尋ねると、子供はローを指差して言った。
「お兄ちゃん」
ローは目を見開いた。
「お、俺か?」
そう聞くと、子供は頷いた。それを見たローは、軽く微笑み、子供の頭をなでた。
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