OP小説
□帽子の下
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「黒足屋、おはよう」
「おっ?ローか。おはようさん。今日は早いじゃねぇか。眠れなかったのか?」
「いや、たまたま目が覚めただけだ。」
そう言って食卓のイスに座る。すると、サンジがじっと自分を見つめていることに気づいた。
「なんだ?黒足屋」
「あっ、わりぃ。なんでもねぇよ。」
「なんだよ。気になるだろうが。言ってみろよ。」
そう言うと、サンジは少し恥ずかしそうに言い出した。
「いやぁ‥‥。お前さ、ずっと帽子かぶっているのか?」
「なんだ、そんなことか。寝る時や風呂に入る時は脱いでいるぞ?」
「それは当たり前だ!そうじゃなくてな、それ以外の時だよ。夏島とか行ったら暑くねぇのか?」
「その時はもちろん脱ぐさ。暑いのは苦手だ。」
「ふーん。そうか。じゃあ今ちょっと脱いでみてくれよ。」
「それはできねぇ。」
あまりの早い返事にサンジは驚いたようだった。
「おっ、おい!どういうことだよ。別に変わったものがあるわけじゃないんだろ?」
「なにも変わったものはないが、今は脱ぐことができない。」
「意味がわかんねぇよ。それじゃなにかあるって言ってるようなもんじゃねぇか!」
そう言うと、サンジが飛びかかってきた。まさかこんなに強引に来るとは思っていなかったので、あっけなく帽子が取られてしまった。
「おい、黒足屋!」
サンジの目が自分の頭にくぎ付けになっているのがわかるが、両手を抑えられているので、なにもできない。
ローの頭はパッと見るとどこもおかしくない、いたって普通だった。少し癖っ毛なのか、軽くウェーブがかかっている。だが、明らかにそうとは思えない場所があった。癖とは反対の方向にはねている。
「‥‥‥なんか、わりぃ。」
「なんで、よりによって今日なんだよ。ったく‥‥」
「おわびと言ってはなんだが、洗面所に俺の寝癖直しがあるんだが‥‥‥‥?」
「‥‥‥‥‥ん。借りる。」
end