君が照らしてくれた道
□仲間
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同じ頃。
都内某スタジオ。
携帯片手に佇む詩音がいた。
高校の頃からミュージシャンになることが夢だった詩音は、高校時代からバンド活動やオーディション等の活動を行ってきて、2年程前にやっと念願のメジャーデビューを果たした。
最近は知名度も上がってきて、テレビにも出始めている。
「はぁ〜…皆今頃楽しんでるんだろうな。」
独り言を吐き出した時、後ろから声を掛けられる。
「約束、あったのか?」
「坂本さん。」
そこにいたのは詩音が所属するレコード会社のプロデューサーだった。
プロデューサーの坂本は、詩音にとって憧れの存在だった。
「高校時代のクラスメイトとちょっと。でも行けないってわかってましたし、いいんです。」
「しんどいだろうけど今が頑張り時だから、もう少しの辛抱だ。今度飯でも行こう!」
「はい!」
頬を染めて笑顔になる詩音。
坂本の後ろ姿をじっと見つめていると、いくつかの視線を感じる。
スタジオのスタッフ達がこっちを見ながらコソコソ話している。
不思議に思い首を傾げていると、手に握っていた携帯が震える。
「もしもし。」
『おっ!詩音?』
「俊ちゃん!」
電話の相手は俊介。
居酒屋からの帰り道、詩音に電話してみようということになり、掛けたと言う。
『今大丈夫なの?』
「うん!レコーディングしてるんだけど、今休憩中だから。」
『そっか。ちょっと待って!』
受話器の向こうで皆の声がする。
『詩音やっほ〜!まりあだよん!』
電話口の相手が変わる。
「まりあ!ごめんね、なかなか予定合わなくて。」
『しょうがないよ。忙しいんだから。』
「でも皆に会いたい。」
『今度はさ、詩音に予定合わせるから、予定合うメンバーだけでも会おうよ!』
「うん。予定空いたら連絡するよ。」
『わかった!…あ、ちょっと待って!あのね、中丸がどーしても詩音と話したいってうるさいから、代わるね!』
「はっ!?言ってねーしっ!」
「いいから!ほら!」
電話の向こうでゴチャゴチャ言っている仲間達。
『あ、もっもしもしっ!』
「雄ちゃん?久しぶり。」
『うん。久しぶり。……詩音?』
「ん?」
『大丈夫か?』
「え?何が?」
『いや、体とか、色々…』
「大丈夫だよ。」
『そっか。』
「ありがと。」
『おぅ。じゃあまた連絡する。』
「じゃあね。」
「中丸〜、どやった?愛しの詩音の声は。」
電話を切った後、隆平がイタズラに笑いながら雄一をからかう。
「うっせ!」
「ズルイぞ中丸だけ。俺も詩音と話したかったっつーの!」
竜也がぷぅっと頬を膨らます。
「いや、俺だけじゃないっしょ!風間もまりあも喋ったから!つかそもそも電話したの風間だし。」
「かざぽんは詩音と一心同体みたいなカンジだしね。」
「兄妹みたいなもんだよ。」
「あんまり言うなよ、中丸が嫉妬するから。」
「してねぇし!」
「はいはい!もう遅いから帰るよ〜!」
それぞれが電車やタクシーで帰ろうとする中、少し元気のないめい。
「どうした?何か相談したいことでもあった?」
みはるがその様子に気づき声をかける。
「ううん。大丈夫。」
「何かあったらいつでも言いなね。」
「ありがとう。」
こうして仲良しメンバー達は解散していった。