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□Unripe dress
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サシャ誕生日SS
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「綺麗....」
見た瞬間思ったと同時に口に出てしまった。
「サシャ?」
立ち止まったサシャを不思議に思ったジャンはサシャの方へ引き返す。
「みんな腹空かせて待ってるから、早く行かねぇと兵長にも怒られ.....サシャ?」
サシャがお店の中を見ているのがわかった。
自分もそのお店の中に視線を移す。
そこには、マネキン2体が綺麗なウェディングドレスとタキシードを着ていた。
(こいつもこんなモノに興味があるのか)
食欲だけだと思っていたがそうじゃなかったらしい。
不意にサシャを見ると、不覚にもドキッとしてしまった。
いつものサシャじゃない。
女の顔をしたサシャを見るのは初めてだ。
「無理ですよね.....」
サシャは悲しそうな顔をしながら、自分の着ている団服に目をやった。
「巨人がいる限り」
その言葉が自分にも深く刺さった。
「ごめんなさい。ジャン行きましょう」
サシャは前に進む。
しかし、ジャンは立ち尽くしたまま。
不思議に思い、サシャは引き返す。
「ジャン?」
「無理じゃない」
ジャンの顔は真剣そのものだった。
「巨人がいるかどうかなんて、ウェディングドレスとは関係ねぇだろ」
「ぇ、ええ...?」
ジャンがサシャの腕を掴み、店の中へ引っ張った。
カランッ
店のドアを開けると他にもたくさんのウェディングドレス。
「わぁっ....!」
サシャは目を輝かせた。
「ジャン見てください!このドレス可愛くないですか!?」
サシャは薄い黄緑色のドレスを指さした。
確かにサシャにとても似合いそうな色だ。
「このタキシードかっこいいな」
「ジャンは白のイメージないです」
(グサッ)
「でも、ジャンが着たらすごくかっこいいと思います。」
「お、おう...///」
「良かったら試着室ありますよ?」
店員が奥から出てきて話しかけてきた。
「あ、でも今日は時間が....」
「行ってこい。待ってるから」
「でも....」
「ほら、ササッとしろっ」
「は、はい...!!」
足早にサシャは試着室へと消えていった。
店員が俺に振り返ると、
「彼氏さんもせっかくなんだしタキシード試着してみてください。サービスで、彼女さんと一緒に写真撮りますよ」
「え、いや.....別に彼氏ってわけじゃ....」
ニコニコとしている店員に折れた。
「じゃあ、試着室お借りします....」
「どうぞ、こちらです」
ジャンはサシャの後から着替えたのにも関わらず、早く着替え終わってしまった。
店の鏡を見ながら、少し決め顔をする。
まだ、出てこない。
正直、早く見たくて仕方が無い。
「ジャンお待たせしました!!」
その声と共に振り返る。
「どうですか?」
魅入ってしまい、言葉が出なかった。
自分の身体が熱くなっているのがわかる。
髪型も変わって、化粧までして。
本当にこの女性がサシャなのか疑うほど綺麗だった。
「やっぱり....ダメでしたか....」
返事のないジャンをそう感じたのか。
ジャンはすぐに弁解した。
「そ、そうじゃなくて....!ただ、お前が綺麗すぎて.....///」
自分で言ってて顔が熱いのが嫌でもわかる。
「あ、ありがとうございます...///えっと....ジャンもかっこいいです///」
「お、おう....///」
お互い恥ずかしくて、何も言い出せず静まり返っていたが嫌じゃなかった。
「写真撮りますよ?」
店員の声で我に返った。
「彼氏さんは彼女さんの
腰抱いて下さいね.....撮りますよー」
ジャンはサシャの腰を引き寄せた。
「ジャ、ジャン! ///」
「ほら、撮るぞ」
「3,2,1.....」
カシャッ
シャッターの音が鳴り響いた。
俺はサシャに落ちていた。
「ジャンありがとうございました!!」
「そんな大したことしてねぇよ」
「私今までで一番幸せな時間でしたよw」
サシャは写真を嬉しそうに見た。
「じゃあ、次は人生で最高の時間にしてやる」
「え.....?」
「なんだよ」
「それって....プロポーズですか?」
「だったら.....?」
答えが返ってくるのが少し怖かった。
「私は.......私はジャンとなら死ぬまでずっと一緒にいたいです」
「.......俺も」
荷物を持っていない手でサシャの空いてる手を強く握った。
すると、サシャも握り返してくれた。
「告白されてもいないのに、プロポーズはびっくりでしたw」
「う、それは気持ちが早まったというか....」
「でも、嬉しかったです」
嬉しい。素直に嬉しかった。
赤面を見せないために顔を背けた。
俺は1つ重大なことを忘れていたことに気づく。
「サシャ」
「なんですか?」
「誕生日おめでとう」
「知ってたんですか!?」
「朝アルミンが言ってたからな」
「....ありがとうございます。私今までこんな嬉しい誕生日ないです....」
「お、おい!!泣くなよ....」
「これは嬉し泣きですよ」
「なら良いけどよ....」
「私ジャンに出会えて良かったです....」
「俺も。芋女でも可愛い」
「それ褒めてるんですか!?」
「どーだろーなー?w」
「ジャンの意地悪です!!」
「これが俺なの。束縛激しいからな、覚悟しとけ」
「.....ジャンに束縛されるの嫌いじゃないです」
「それ反則」
この時間がずっと続けば良いと思った。
「お前ら.....随分買い出し遅かったな......????」
「ちょっと途中で雨に降られましてぇ....」
「その割には服濡れてねぇな」
「っう」
「まあ、良い。今回は許す。次やったら削ぐぞ」
「はいぃ....!!」
「早く飯つくれ。腹へった」
「す、すぐ作ります.....!!」
厨房に行こうとする瞬間、サシャのポケットから1枚の写真が落ちた。
リヴァイが拾い上げると、そこには二人が写っていた。
「なるほど....」
少しリヴァイの表情が和らいだ。
リヴァイはそれを持ち、厨房へと消えていった。
end.
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