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□子迷子思い
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※家族シリーズ
オリキャラで息子登場します
・・・・・・・・・・・・・・・・・


巨人との戦いが終わり、人類は新たな平和を取り戻していた。

意味のなくなった壁は壊され、人類の活動領域は広まり、世界各地に散らばっていく。










窓から朝日が差し込む。
ふと目を開けるとそこはいつもと変わらない天井。
そして、キッチンからは良い匂いがした。いつものことだがサシャが朝ごはんを用意している。

隣で気持ち良さそうに寝ている我が子。本当に気持ち良さそうで、自然と微笑む。起こさないように静かにベッドから下り、リビングに向かう。


「サシャおはよ」

『あ!ジャンおはようございます!ごめんなさい、まだご飯できてないんでもう少し待ってて下さい』

「おう」

それにしてもいい匂いである。

(これでまだできてないって朝から豪華すぎじゃねぇか?)

キッチンで料理をしているサシャを見ながら出来上がるのを待った。

「パパ!ママ!おはようございます.....!!」

さっきまで寝ていた我が子が起きたようだ。相変わらず朝から元気がいい。見た目は俺だが中身はサシャの4歳の男の子だ。

「シャロンおはよ」

『シャロンおはようございます!パパの隣で座って待っててね』

「うん!」

「シャロン顔ちゃんと洗ったか?」

「洗ったですよ!」

「おでこに泡ついてるぞ〜」

ジャンはシャロンを抱き抱え洗面所に向かった。
抱っこされて嬉しいのか、きゃっきゃと笑うシャロンはとても可愛い。顔はジャン似だけど。

しっかり顔を洗い終わってリビングに戻ると朝ごはんが出来上がっていた。
みんなで手を合わせ、みんなで「いただきます!」と必ず言ってから食べる。サシャのおかげで食べ物の有り難さをすごく学んだ。そして、それはシャロンにも自然と染み付いているだろう。

「おいしい!やっぱママのご飯は最高です!」

『それは良かったwジャンもどうですか?』

「ああ、相変わらず美味い」

『ふふw嬉しいですw』

そういうサシャは本当に大人っぽくなった。前より女性らしい行動をする。子を産むと母親は変わると言うが本当なんだろう。

「おいシャロン、こっち向け」

「ん?何パパ?」

「口の周りいっぱいついてるぞ」

ジャンはティッシュで口の周りに付いた食べかすを拭いてやる。拭いてもらってる間、んーっと口を閉じている仕草がまた可愛い。

「パパもここ付いてるよ」

顔を近づけると今度は逆にシャロンが拭いてくれた。

「シャロンありがとな」

ジャンがニッと笑うとシャロンも真似してニッとする。そんな様子をサシャは優しく見守る。

(数年前まではこんな生活できるなんて想像できんかった.....)

この子は巨人など知らない。いや、知らない方がいいのかもしれない。巨人の恐ろしさなど。残酷な世界など知らずに明るい未来を生きて欲しい。






「行ってくる」

『「いってらっしゃいです!!」』

ジャンは仕事に出掛けた。
サシャも急いで支度をする。
その様子を見ていたシャロン。

「僕またお留守番なの......?」

『ご、ごめんね...ママも今忙しくてどうしても行かなきゃいけないから.....そうだ!!今日の夕飯はシャロンの好きなオムライスにしましょう!』

オムライスという単語にシャロンは目を輝かせた。

「僕、お留守番頑張る!」

『ママも早めに帰ってきますね。』

「はーい!」

『それじゃ行ってきますです!』敬礼

「いってらっしゃいです!」敬礼


パタリとドアが閉まり、サシャが鍵を閉めた音が静かに響いた。



誰も居なくなったリビングでしばらく本を読んでいたシャロン。外で遊ぶ子供の声が聞こえる。窓を開けて見てみると、お隣のイェーガーさん家の兄妹が遊んでるのが見えた。


「僕も.....妹が欲しい.....」

今すぐにでもあの中に入りたいが、留守番中なので外に出れない。だが生憎、ここはこれっぽっちも危ない場所ではない。ここは、警察本部の社宅だからだ。つまり、警察本部の中に作られているため、不審者などいるわけがない。

巨人に勝利した後、調査兵団は警察に変わり、駐屯兵団は建設業者へ、憲兵団は相変わらず王の元で働いている。
調査兵団の上部の人達は調査のため世界に散っていったのだ。


そしてシャロンは、玄関の鍵を開けて外に出ていった。




ミカサが買い物から帰ってくるとお隣のキルシュタインさん家のドアが開いたままだった。不審に思ったミカサは恐る恐る中を覗く。だが、誰もいない。確か、子供のシャロンくんがお留守番をしてるとサシャから聞いていたがいない。おかしいと思ったミカサは、警察本部へと行った。



「サシャ」

警察官の制服を着ているサシャがゆっくり振り向く。

『あれ?ミカサは今日お休みのはずじゃ』

「シャロンくんがいなくなってた」

『え...!?』

「とりあえず、探してくる。ジャンにも伝えておいて」

『そんな....鍵も閉めた筈なのに....』

「ドアが開いたままだった。多分、自分で開けたんだと思う」

『...!!....すいませんミカサ!お願いします』

「ええ」







『ジャン!!』

「ぬぉっ!!急におっきい声出すなよ。びっくりすんだろ」

『す、すすすいません....!って、それどころじゃないんです!シャロンが、シャロンがどっかに行ってしまって....!』

「なんだと....!?鍵は閉めたはずじゃ」

『閉めました!ちゃんと!でも、ミカサによると自分で開けたんだと.....』

「ミカサが伝えてくれたのか.....クソッ、俺も探すが見つけたらすぐ連絡しろ...!」

『は、はい.....ふぇ』

「お、おい泣くな。シャロンは大丈夫だ....泣いてる場合じゃねぇぞ??」

『わかってますよ....ぅ』

ジャンはサシャの頭を優しく撫でる。

「俺とサシャの子だ。元気過ぎてきっと....家で一人でいるのがつまんなかったのかもな....」

『ふぇっ....そうかもしんないです。だってまだ、4歳なのに....私達』

「......とりあえず、今は探すぞ。話は後だ!」

『は、はい.....!!』













「図書館もいない。食堂もいない。」

ミカサはあちこちを歩き回っていたが、見つからなかった。

「おい、ミカサこんなところで何やってんだよ」

「エレン!シャロンくん見てない!?」

「いや、見てないけど.....なんかあったのか?」

「シャロンくんが居なくなってた。あちこち見たけど見つからない」

「....公園は見たか?」

「え?公園って社宅の近くの?」

「ああ」

「見てない....行ってくる」

「ああ、俺も見つけたら連絡する」

「ありがとう」













公園へ行くと、子供達の声が聞こえた。
そこには我が子と.....

「シャロンくん!」

「あ!お母さん!」

「ミカサさんお久しぶりです!!」

笑顔でそう言うシャロンはきっと自分のことを探してるなどと思ってないのだろう。やんちゃで表情が変わるところは本当にサシャそっくりだ。顔はジャンだが。





連絡を聞いて公園に駆けつけたジャンとサシャ。サシャはシャロンに抱きつく。


『良かったシャロン....!勝手にお家出ちゃダメじゃない!心配したんですよ....!!』

「ご、ごめんなさい....」

「おい、サシャどけ」

ドスのきいた声が聞こえた。
ジャンは明らか怒こっていた。

「パパ...ご、ごめんなさい。僕、どうしても遊びたくて」

そして、ジャンはシャロンの頬を引っ叩いた。勿論手加減して。

「ふぇ.....」

「ちょっとジャン!!何して...!」

「うっせぇ、サシャは黙ってろ」

「パパ、ご、ごめんなさぃ....っ」

「今回はなんにもなかったから良かったけどな、お前になんかあってからじゃ遅ぇんだよ!!」

「ぅぅ...うわぁぁあああんんん」

シャロンはジャンに抱きついた。

「ごめんなざいごめんなさいごめんなさいごめんなざい.....もう、一人でどっか行ったりしないです....ヒクッ」

「わかったら良いんだよ....」

ジャンはシャロンを優しく抱きしめ頭を撫でてあげた。


ミカサ(あのジャンがちゃんと父親やっている.....)

「でも、パパもママも帰りが遅くて一人じゃつまんなかったよな。ごめんな....」

「ううん。お仕事はしょうがないもの。我慢しなきゃ.....あ、でも」

「なんだ?言ってみ....?」

「僕も兄妹欲しいなって......」

『シャシャシャシャロン!?///////』

顔を真っ赤にするサシャ。シャロンは訳が分からなかった。さっきまで優しい表情だったジャンも意地悪そうな顔をしている。ミカサもその光景に少し微笑む。

「そうだな。もう一人いればお前も退屈じゃないもんな」ニヤリ

「う、うん......?」

サシャの耳元でシャロンに聞こえないように、

「今夜は覚悟しろよ」

次の瞬間サシャの顔はりんごのように真っ赤になる。

シャロンはポカーンとしていた。

「安心しろ。シャロンがほしいって言うなら妹も弟も作る」

「本当に....!?」

シャロンは目を輝かせた。

「ああ、なぁサシャ?」

『は、はい/////』

顔を手で覆うサシャは未だに真っ赤だった。

「あ、ミカサ」

その声にサシャもいつもどおりになり、ミカサにお礼を言った。

「私は別に。好きでやったことだから、それに......これで家族がまた増える」

『ミカサまで!!////』

「それに、兄妹ができるまで、いつでも家に遊びに来ていい」

「「「やったーー!」」」

子供達は声を揃える。

『そんな、ミカサ...悪いです』

「いい....できるまでいつでも来ていい」

「だったら、ミカサとエレンがいないときは、こいつら家に来いよ」

『そうですね!近所同士仲間同士、そうしましょう!!』

ミカサも首を縦に振り、そこで別れた。











後、2週間後にサシャが妊娠したのは言うまでもない。




end.

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