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□大切な人
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ジャン→←サシャ
※51話若干ネタバレ
・・・・・・・・・・・・・・・・・


『あなたは大切な人を失った時、
どうなりますか―――――??』






その時は訪れた―――




ジャン「サシャ!!ぉぃ...!」


サシャ(この声は.......?)

サシャ「ジャ.....ン....?」

ジャン「サシャ...!今、今助けるから待ってろよ....!」

サシャ「......もういいんです」

ジャン「諦めんな...!」

サシャ(ああ、そうか....私は――)


――もう、死ぬんだ


体に力が入らない。
目を開けても、ぼやけてよく見えないけど、でもそこにジャンがいるのは確かなんですね。

サシャ「ジャン....本当にもういいんです....もう....」

ジャン「それ以上言うんじゃねぇ....!頼むから死ぬなよ...!」

サシャ「.....な、んで.....ジャンはそんなに.....?」

ジャン「....お前だって....なんで俺を庇った.....!?」

サシャ「...それは..........貴方を失いたくなかった....前にジャンがミカサを助けたみたいに....」

ジャン「......!!」

サシャ(もう...足の感覚がありません.....)

ジャン「死ぬな.....サシャ死ぬな.....」

サシャ「な、んで....」

ジャンは私を抱き締めてるんですか―――?

サシャ(でも....このまま死ねるなら幸せです―――――)

サシャ「あり...が...と....ジャン...大好きです.....」




ジャン「―――――サシャ......?!」

抱き締めていた体は少し冷たくなっていた。

ジャン「う、そだろ.....?」

わかっていたはずなのに。

ジャン「俺まだお前に本当の気持ち伝えてないのに.....」

アルミン「ジャン...!早く戦闘体制に入るんだ...!ジャン!!巨人が来てる...!」

後ろから巨人が近づいてくる。

ジャン「俺の返事も聞かずに先に逝っちまったんだよ....」

ミカサ「ジャン...!早く...!っく...!」

アルミン(僕もミカサも他のみんなも今助けに行ける状態じゃない....!)

アルミン「くそっ....」

ジャン「.......」

巨人の影で辺りが暗くなった。

アルミン「ジャン....!!危ない!!」

ジャン「許さねぇ.....絶対に許さねぇ.....!!―――――」


――
―――――
――――――――


その時一瞬何が起こったか皆分からなかった。

あの体制から一瞬で巨人の手をよけて、立体起動でうなじを狙い、すごい速さうなじを削ぎとった。

巨人は倒れ、蒸気が出る。

その後もジャンは何かが狂ったように、巨人を殺していった。



―調査兵団本部―

棺に納められたサシャは人形の様に白かった.....。

ジャン「....なんで俺はいつも周りに助けられて生きてるんだ....なぁ、サシャ答えてくれよ...?」

勿論返事など返ってこない。

それがよりジャンを現実に引き戻した。

ジャン「お前がいなきゃ、俺生きる希望がねぇよ.....」



この間の壁外調査が終わったあと初めての新生リヴァイ班で夕飯。


アルミン「サシャの墓を調査兵団の庭に...?」

リヴァイ「ああ。俺がこの間ブラウスの実家に行った時、父親が仲間と同じところにいさせてくださいと.....」

ジャン「..........」

エレン「それなら、俺たちもサシャにいつでも会えますね......」

リヴァイ「ああ.....」


食後の片付けはエレンとジャン。

エレン「なぁ....ジャン」

ジャン「..........あ?」

エレン「一応聞くけど、変な事考えてないよな....?」

ジャン「−!!.....」

エレン「お前.......!」

ジャン「.....っ....しょうがないだろ....!俺は今まで気づかなかった...!サシャのことがここまで大きな存在だったって.....!失ってわかったんだよ.....あいつがいつも笑って隣にいたこと....」

エレンはジャンの声がだんだん曇っていくのがわかった。

ジャン「俺はいつもそうだ....死んでいく奴らに助けられて、俺は生きてる....もううんざりなんだよ....!....サシャはもういない....いないんだ......」

エレン「......俺だって.....!」

ジャン「.....!」

エレン「俺だって、今まで俺の為に死んでいったやつ何人かわからない...!訓兵の皆、リヴァイ班の先輩に調査兵団の人達....!俺だって、うんざりなんだよ....!でも、でもその死んでいった人達の思いはどうなる...!?死んでいった命を無駄にすんのか.....!?」

ジャン「――!!」

エレン「サシャはきっとお前自身で自分の命を殺めるなんて、望んでないと思うぞ。それはお前が一番わかってんだろ....?」

ジャン「...ああ、そうだよな....俺お前に言われるまで色々見失ってたんだ...」

エレン「大切な人を失った時は誰だってそうだ.....」

ジャン「......ありがとな....エレン」


―――
―――――
―――――――



庭にポツンと建っている石碑。
そこにはサシャ・ブラウスと書かれている。
周りにはたくさんの花が一面に咲いていた。

そこに一人の男がいた。

ジャン「今日は俺が団長に昇格して初めて行く壁外調査だ。正直、成功させられる自身なんてこれっぽっちもねぇよ.....でも、少しでもサシャが俺の背中押してくれたら頑張れる気がするな。生きて必ず帰ってくるから、待っててくれよ....?」











ジャン「第××回!!壁外調査を開始する....!全員心してかかれ...!」





''いってらっしゃいです!''




ジャン(...ああ、行ってくる)





end.

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