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□Present from a dream
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巨人が絶滅したあとのお話
・・・・・・・・・・・・・・・・・


巨人が絶滅し、人類の活動領域が広まった。

そして、今日は10年ぶりの104期生の調査兵団と集まり、小さい居酒屋で宴会をしている。

コニー「プハァー!この酒超うめぇw」

サシャ「コニー!飲みすぎですよ!!」

集まったと言っても、三人だけだが。

ジャン「お前ら相変わらず元気だなー」

サシャ「そりゃ10年ぶりの再会ですよ!嬉しくてはしゃいじゃいます!!」

10年となると、ここの三人は25歳を過ぎている。立派な大人だ。

サシャ「ミカサ達は今、どこにいるんですかね....」

そう。約10年前、巨人絶滅と共に壁外へ旅立って行った3人。

ジャン(きっと、もう二度と会うことはないだろうな.....ミカサにも)

ジャンはミカサへの想いを吐き出さないまま今まで過ごしてきた。
正直、もう無理だとわかっている。

コニー「あ、そうだ!!言うの忘れてたけどさ、俺先月結婚したんだ!!」

サシャ・ジャン「.....え!?」

サシャ「ちょ、いつの間に!!結婚式呼んでくれれば良かったのに!」

ジャン(俺はてっきりサシャと結婚すんのかと思ってたけど.....)チラ

コニー「まだ、式は挙げてねぇから、挙げるときお前ら二人も招待するよ」

サシャ「是非!花嫁さんみたいです!」

コニー「俺じゃなくて!?」

ジャン(サシャは別に悲しんでないのか.....ってことはそういう感情はコニーのはないのか??)

コニー「お前らも早く良い相手見つけないとぼっちになるぞ?」

サシャ「そんな私みたいな人を好きになる物好きいませんよ〜w」

ジャン(サシャも昔と比べると随分綺麗になったな....ん?)

コニー「ジャン?」

ジャン「んあ?」

コニー「ぼーっとして大丈夫か?」

ジャン「ああ、平気だ。俺もお前の結婚式見てぇー」

ジャン(俺もそろそろ結婚しなきゃ、ババアがうるせぇな....)

サシャ「でも、新婚さんなのに、こんなとこに居ていいんですか??」

コニー「別に宴会ぐらいは....」

サシャ「いや!やっぱダメですよ!奥さん笑っててもきっと、寂しいって思ってると思います!!」

コニー「...!!そうか....そうだな!!悪い俺早いけど帰るな!!」

サシャ「はい!奥さん可愛がってあげるんですよ!」

コニー「おう!じゃあ、またな!」

コニーは自分の分のお賽銭を置いてくと店を出ていった。

サシャ「それにしても、コニーが結婚だなんて、先を越されましたね」

ジャン「そうだな....お前は?」

サシャ「へ?」

ジャン「結婚してなくても、相手ぐらいいんだろ?」

酔っているせいなのか、サシャだからなのか気になった。

サシャ「いえ?いませんよ?......というか付き合ったことすらありません」

ジャン(俺と同じじゃねぇか)

サシャ「告白はされたりしましたけど、全部断りましたね」

ジャン「なんでだ?せっかくのチャンスだろ」

サシャ「心に決めた人がいるんです。でも、多分叶わない....」

ジャン(そこも俺と一緒か...)

ジャン「コニーじゃなくてか?」

サシャ「コニーじゃないです。あれは馬鹿騒ぎできる友達です」

ジャン(じゃあ、もう....死んじまった奴か...?)

サシャ「でも、その人はちゃんと生きてます」

ジャン「そうなのか、俺はてっきり...」

サシャ「ハハw元気に生きてますよ」

ジャン「そうか.....」

サシャ「ジャンはミカサですもんね....」ボソ

ジャン「あ?」

サシャ「いえ。なんでもないです。ジャンは結婚するつもりはないんですか??」

ジャン「そりゃ結婚願望はある。ただ、相手がいない....」

サシャ「好きな人は...?(わかってますけど)」

ジャン「いたけどな....遠い昔の記憶だよ。今はいねぇな....」

サシャ(え?)

サシャ「そ、そうなんですか...」

ジャン「お前時間大丈夫?」

サシャ「何言ってるんですか、一人もんですよ?待ってる人なんていません!w」

ジャン「お互い様だなwじゃあ、二人で飲みなおすか。」

サシャ「そうですね。明日は仕事も休みですから」



―結局、あれから色々語りながらお酒を飲んでは注いで、飲んでは注いで。

うるさかったのか、店長は怒って私たちをお店から追い出した。
この店には一生来れない。

足がフラフラなジャンを、サシャは支えながら誰もいない道を歩いた。

ジャン「ウプ...」

サシャ「ジャン?吐きそうですか??」

ジャン「....」コクコク

ジャンは必死に頷いた。

サシャ「路地に入りましょうか」

―路地―

ジャン「おえぇ...」

サシャ「ジャン飲みすぎたせいですよ」

サシャはジャンの背中をさすった。

ジャン「だって、ウプッ....お前と話すの楽しくてよ....つい飲みすぎちまった」

サシャ(!////)

ジャン「お前もなんか顔真っ赤だぞ??」

サシャ「これは!!お酒のせいです....!」

ジャン「ならいいんだけどよ....コクコク」

サシャ「?」

ジャン「zzz.....」

サシャ(ええ!?なんでそこで寝るんですか!?)

ジャン「zzz....」

サシャ「女一人じゃきついんで、ちょっとは起きてくださいよ」

ジャン「ん........zzz....」

サシャ「これは....はぁ....私ん家に運ぶしかないですね。放置は流石にかわいそうです」

サシャ「よいしょっと....!お、重い...」


―サシャ宅―

サシャ(ふー、やっと着きました。とりあえず、ジャンを私のベットに....)

ジャン「んん....ミカサ...?」

サシャ「!!!!....ジャン!違いますっ...!ミカサじゃありません!」

ジャン「ミカサ....」

サシャ(ダメです。完全に酔ってます)

ドサッ

サシャ「え....?」

ベットに押し倒され、ジャンが上に乗っている。

ジャン「ミカサ....」

ジャンの顔が近づいて、サシャは目をつぶった。

しかし、何も来ない。
しばらくすると、サシャの横にジャンが倒れ込み、寝息が聞こえる。

サシャ「.....」

サシャはジャンの腕をどかして、ベットから降り、寝息をたてるジャンを見下ろした。

サシャ「何がっ....何が昔の記憶だよ、ですか....やっぱり忘れてなんていないじゃないですか.....!!」

視界が涙で歪む。
ジャンは変わらず寝息をたてて寝ている。

サシャ「ジャンの....馬鹿っ...期待なんてしなきゃよかったんや.....」

サシャは風呂場に向かい、勢い良くお風呂のドアを閉めた。





――ここは一体?

見渡しても真っ白な空間。

――ん?誰だ?

ミカサか――?

ミカサ「ジャン」

ジャン「ミカサ!?お前...!」

ミカサ「それ以上の近づいては駄目」

ジャン「...!?」

ミカサ「駄目」

ジャン「....」

ミカサ「今日はジャンに伝えたいことあって来たの」

ジャン「お、おう....(告白か?)///」

ミカサ「ジャンは私のことなんて忘れて」

ジャン「??.....どういうことだよ.....?」

ミカサ「ジャン。私よりずっと前からジャンを見てくれてた人が側にいるはず。だから、私を忘れて」

ジャン「な.....!」

ミカサ「私の"友達"。だから、絶対幸せになってほしい。もちろん、ジャンにも」

ジャン「....なぁ」

ミカサ「何?」

ジャン「ミカサは今、幸せか.....?」

ミカサ「フフ。ええ、凄く」

ジャン「そうか...」

ミカサ「それじゃ...」

ジャン「ま、待ってくれ...!」

走っても、走っても追いつかない。
ミカサの後ろ姿はどんどん遠くなっていくばかり。

???「ジャン!」

後ろから声が聞こえた。

ジャン「....?」

振り向いても、そこには誰もいない。

???「早く!こっちです!」

でも、聞き覚えのある声だった。

???「ジャン!早くしないと置いて行きますよー!!」

何故かこの声を聞くとホッした。

けど、誰かはわからいない。

急に背中を誰かに優しく押された気がした。

???「君は今何をすべきか......わかるだろ?」

ジャン「.....!」

???「ジャン、行っておいで。???が待ってる」

ジャン「おう、ありがとな......."マルコ".....」

声のする方へ走り出した。
足が軽い。
ミカサのときとは違って、体が勝手に動いてるようだ。
シルエットが見えてきた。
まだ、誰なのかわからない。
けど、なんとなく想像がついた。


きっとアレは━━━━━









ジャン「サシャ....」

サシャ「え...?」

次の日、お昼ご飯が出来たのでジャンを起こしに来たのだ。
しかし、今それどころではなかった。

サシャ(なんで...?)

ジャン「サシャ.....やっと会えた....」

サシャ(!!―――昨日私が見た夢と同じ.....真っ白な空間で私がひたすらジャンを呼んでて.....それでジャンが来てくれた時に言ってくれた....)


ジャン「ん...サシャ....」

ジャンは目を覚まし、体を起こした。
そして、サシャの手を引き、抱き寄せる。

ジャン「気づかなくてごめんな....」

サシャ「....!」

ジャン「お前が俺の事好きだってこと」

サシャ「!?....な、なんでっ」

ジャン「.....さっき夢の中でミカサに会った。それで、ミカサが俺の事をずっと前から見てた人がいるって言っててな、そしたらミカサのやつ、その友達を幸せにしてあげてほしいって言ってたんだ。...それだけ言って去っていた後に、お前が俺の名前を呼ぶ声が夢の中で聞こえた」

サシャ「........」

ジャン「でも、サシャの所に行っていいのか迷ってたとき、マルコが背中押してくれた.....」

サシャ「.......」

ジャン「だから、俺はお前に会えた.....」

サシャ「....!」

ジャン「本当に遅くなってごめんな。」

サシャ「そんなことっ.....」

ジャン「俺はお前が好きだよ。やっと俺自身も気づいた...」

サシャ「え、そんな嘘..............ふぇっ」

ジャン「ちょ、泣くなよ!嘘じゃない!!」

サシャ「違います!これはっ...嬉し泣きです...!」

ジャン「なら、いいけどよ....」

サシャ「...今、凄く....幸せです」

ジャン「俺も......サシャ大好きだ」

サシャ「私も、ジャンが大好きです....!」エヘヘ





二人でしばらく抱き合っていると、キッチンから焦げ臭い匂いがした。

サシャ「ぁぁああああ!!!!!!!お魚ぁぁぁああああ!」
サシャは勢いよく寝室から飛び出していく。
ジャンはその後ろ姿を優しく見守った。




end.

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