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私の視線の先にはいつもジャンがいる。
自分でも無意識のうちに目で追ってしまう。
だから、余計わかる。

ジャンの好きな人が。

ジャンの視線を追うと、その視線の先には必ずミカサがいた。
でも、ミカサはエレンエレンエレン。
その様子を見てるジャンの顔がいつも悲しそうで、それだけジャンがミカサのことが好きなんだと思うと私の心が悲鳴をあげる。

それでも、いつか僅かな確率でもジャンが振り向いてくれるんじゃないかって期待してる。



サシャ「ジャン、おはようございます!」

ジャン「ああ、はよ....」

ガラッ

ジャン「!!」

エレン「ふぁ〜・・・みんなおはよう」

ミカサ「エレン...寝癖ついてる」

エレン「んあ?ああ、本当だ。ありがとな」

ミカサ「別に//」

アルミン「授業始まるし、二人共早く席についた方がいいよ」

ジャンに向かってミカサが近づいてくる。
当然だ。
今の席はジャンの隣がミカサだから。

ジャン「ミ、ミカサ!おはよう....!」

ミカサ「おはよう」

サシャ(ああ、やっぱり私の時とは違う....)

私はその様子を後ろの席から見ていた。
一番後ろだから、なんでも見える。
授業中、携帯弄ってる人、居眠りしてる人、早弁してる人。
そして、ミカサと話す度、ジャンが嬉しそうな顔も。

私はくじ運が悪いんでしょうか。
早く席替えがしたくてたまらないです。

授業が始まってもボーットしていた。

ベルトルト「サシャ、サシャ」

突然、隣のベルトルトに話しかけられた。

サシャ「何ですか?」

ベルトルトは焦った顔で、指を指した。
サシャは、指した指の方を向いた。

サシャ「あ....」

先生と目が合う。

キース先生「ようやく気づいたなブラウス....!何を考えていたか知らないが、授業に集中をしろ!放課後、職員室に来い!」

ああ、今日は最悪な日です。



―――――
―――


サシャ「え、コレ全部ですか?」

キース先生「そうだ。これを準備室に運んでくれ。これぐらいの罰は軽いもんだろう?」

サシャ「わ、わかりました....」

キース先生「運び終わったら、帰っていいぞ」

サシャ「はい....」


廊下――


サシャ「お、重い....」

積み重なった資料を両手で持ち上げる。

サシャ(これで階段上るなんて死んじゃいます....)

階段を上り始める。

サシャ(今頃ジャンは、部活でしょうか....)

こんな時もジャンを考えてしまう。
そんな時下から声をかけられた。

ジャン「サシャ?」

サシャ「―ぇ!?」

その瞬間階段を踏み外して、自分の体が宙に浮かんだのがわかった。
とっさに離してしまったせいで、目の前に資料が飛ぶ。

ジャン「――うおっ!」

サシャ「きゃっ....!」

後からくる痛みに耐えようと、目を瞑った。

だが、不思議と痛みはない。
目を開けると目の前にジャンがいた。

サシャ「ジャ、ジャン!ごめんなさい...!大丈夫ですか!?」

ジャン「ああ...俺は大丈夫だ....」

サシャ「ご、ごめんなさい!私のせいでこんな....」

サシャ(絶対、嫌われるじゃないですか)

ジャン「なぁ、上からどいてもらっていいか....?////」

サシャ「へ?あ、ああ////す、すいません!!」

やっと気持ちが落ち着き、よく考えたら大変な体制であったことに気がついた。

周りには資料の紙が散乱している。

急いで拾い出す。

サシャ(は、早くこの場がから逃げ出したい.....)

ジャン「サシャ、コレ」

サシャ「え、そんな!拾わなくていいですよ!部活遅れてしまいますでしょうし、私に構わず...!」

ジャン「いや、今日は部活ねぇし」

サシャ「え、そ、そうなんですか?」

ジャン「ああ、だから手伝う。一緒に運ぶぜ」

サシャ「そんな悪いですよ....でも、部活ないなら何でこんなところに?」

ジャン「帰ろうとしたら、コレ持って重そうにしてたから手伝おうと思ってな」ニッ

サシャ(ドキッ)

サシャ「そ、そそそうなんですか!!ありがとうございます!」

ジャン「おう、だからそんなに気にすんな」

今日は良い日かもしれません。

でも、そんなこと言われたら期待しちゃいます。

準備室―――
ジャン「これで全部か...?」

サシャ「はい、ジャンありがとうございました!」

ジャン「そんな対したことじゃねぇよ」

ガチャンッ!

サシャ「?何の音ですかね?」

ジャン「なんだろうな?なんか落ちたか?」

サシャ「何か落ちた気配はしませんでしたけど....」

ふと外を見ると、もう暗くなっていた。

ジャン「そろそろ帰らねぇとな」

サシャ「そうですね。遅くまで付き合わせちゃってすいません」

ジャン「俺が勝手にやったことだから気にすんな」

サシャ「でも、ありがとうございます」ニコッ

ジャン「お、おう....」

ジャンが急に下を向く。

サシャ「どうかしました?」

ジャン「い、いや、なんでもねぇよ」

サシャ「具合悪いわけじゃないなら、良かったです」

私はドアに手をかけた。
でも、開かない。

サシャ「?」

サシャ(まさか...?)

ジャン「どうかしたか?」

サシャ「....ジャンもしかしたら私達、閉じ込められたかもしれません....」

ジャン「はぁ?!マジかよ...!」

ジャンが勢い良く開けようとしても、開かないドア。

ジャン「まじか...」

サシャ「もしかして、さっきの音って」

ジャン「鍵かけた音か...」

サシャ「ご、ごめんなさい!!私の手伝いなんてしたせいでこんなことに...」

ジャン「いや、気づかなかった俺も悪い」

サシャ「と、とりあえずどうしましょう....?」

ジャン「どうするも何も明日までここにいるしかないだろうな....」

サシャ「そんな」

ジャン「立ってたってしょうがないし、座ろうぜ」

サシャ「は、はい...!」

サシャは、ジャンの隣に少し間をあけてそっと座った。

サシャ・ジャン「.....」

沈黙が続く。

そして、よくよく考えると夜、部屋に閉じ込められた男女二人だけということ。

そう思うと、体中が熱くなった。

ジャン「サシャ?お前顔赤いぞ?」

サシャ「へ!?」

急に覗き込まれたせいで、もっと顔が赤くなる。

サシャ(わ、私は何変なこと考えて...!)

ジャン「風邪か?寒いならこっち来いよ」

サシャ「そ、そんなちがいますよ..!大丈夫です!」

ジャン「大丈夫じゃないだろ。顔真っ赤だ。こっち来い」

腰に腕を回せられ、ジャンの方に引き寄せられた。

サシャ(こ、この状況は一体....!!///)

ジャン「近づいた方があったかいだろ」

サシャ「は、はい...////」

サシャ・ジャン「....」

また、沈黙が続いた。

夜の8時。

外もすっかり暗くなっている。

ふとジャンを見ると、月明かりに照らされて凄く綺麗で、凛とした顔がよりかっこよく見えた。

サシャ「ジャンは、ミカサに告白しないんですか?」

ジャン「な、なんで知って...!?」

サシャ「なんでって言っても....」

ジャンのことが好きで見てるせいですよ。

ジャン「告ったって、無理に決まってんだろ。ミカサはエレンエレンだ。」

サシャ「.....」

ジャン「カッコ悪いよな。俺。」

サシャ「!!そ、そんなことないです!ジャンはかっこいいですよ!!」

ジャン「そんなお世辞いいって」

サシャ「お世辞じゃないです....!私っ、ずっとジャンのこと見てるんです!すごくかっこい...い.....あっ.....!」

ジャン「サシャ....お前、俺の事好きなのか?」

勢いに任せて、言ってしまった。
頭の中が真っ白だ。

サシャ「い、今のは忘れて下さい!//」

ジャン「忘れろって言われても、無理だっ//」

サシャ「お願いです。忘れて下さい....!」ポロッ

ジャン「.......」

チュッ

サシャ(―――え?)

驚いて目を開けると、ジャンが目の前にいる。

サシャ「なん....で....」

ジャン「....俺の事好きだって言ってくれるやつお前くらいだ。俺こういう性格だからよ、友達なんて今までまともにできなかったし、女とも憎たらしい言葉しか話したことなかった。だから、俺今すごく嬉しくて ..それに」

ジャンは、赤い頬を触る。

サシャ「.....ふぇ?」

ジャン「俺の事好きだって言ってくれる女に弱いんだよ....」

また、頭の中が真っ白だ。

ジャン「俺は、サシャが好きだ」

サシャ「本当ですか...?」

ジャン「っは....嘘ついたってしょうがないだろ。だから、泣くな。サシャは、笑った方が良い....」

サシャ「.....ふぇ、うう....」

ジャン「お、おい、泣くな.....!」

サシャ「ち、違いますよ...!これはっ嬉し泣きです...」

ジャン「....俺、口悪いし、多分束縛激しいしいいとこないぞ?」

サシャ「それも含めて、私は全部好きなんですっ」ニコッ

ジャン「っ//嫌だったら、遠慮なく言えよ?」

サシャ「嫌なんて思いませんよ...むしろ、幸せです!」

ジャン「俺も....」

サシャ「ジャン」

ジャン「ん?」

サシャ「これから、よろしくお願いしますねっ!」

ジャン「ああ....よろしくな」






この日、サシャとジャンにとっての記念日となった。

6月9日(木) 雲のち晴れ



end.

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6/9‐夜9時‐
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