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□海へ
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※サシャが重傷なので、苦手な方注意
・・・・・・・・・・・・・・・・・






巨人との戦いが終わり、人類は外の世界へ行くことができるようになった。
皆、壁の外へと出ていき、世界中に人が散らばって行った。

巨人を全て絶滅させ、早々に死に急ぎ野郎にミカサ、アルミンは外の世界へと旅に出た。
また、会おうな。なんて言われたが、きっと世界は広いのだろう...会うことなどもうないかもしれない。

しかし、今の俺にはミカサのことなど思春期の淡い初恋である。
俺の隣には、今愛する人がいて、愛してくれる人がいる。腕の中で静かに眠る小さな命。

サシャ「ここまで長かったですね」

ジャン「ああ。でも、来たかいがあるな」

サシャ「はい。すごく綺麗です.....」


そして、目の前には壮大で自由な海――――





最初出会った頃は、ただの変人としか見ていなかったが、俺が調査兵団の班長に任命されたとき、サシャは俺の補佐役として仕事中はずっと一緒だった。
仕事中、サシャと毎日会話を交わした。もちろん仕事話だけではなく、休憩時間には、お互いのことを話したりした。
いつからか、サシャに惹かれ、毎日一緒に仕事をするのが嬉しくて仕方がなかった。


壁外調査の前日、各班の班長だけが団長室に呼ばれた。
そこには、いつもとは違う重い雰囲気があった。おまけにリヴァイ兵長まで。
そして、エルヴィン団長は重く口を動かした。

エルヴィン「今回の壁外調査、今まで通りのようには行かないだろう.....。いつも以上にハードルが高い。死傷者も今までの何倍にもなる....その事を皆に伝えて欲しい」

それを聞いたあと、俺は班員全員に伝え、最後にサシャへ伝えに行った。
そして俺は、人生初めてのガチ告白をした。
結果はどうであれ、せめて気持ちだけでも伝えたかった。
言えないまま死ぬなんてごめんだ。
しかし、結果は思っていたのとは違く、顔を赤らめよろしくお願いしますと、サシャが小さく呟いた。
俺は口より先に体がうごいた。
サシャを勢い良く抱きしめて、そのまま後ろにあったソファに押し倒した。
俺はがむしゃらにサシャを求めた。
サシャも俺を受け入れてくれた。
長いようで、短かった夜があっという間に過ぎた。

お互い帰ってこれるかわからない、今回の壁外調査。
俺はサシャを置いていこうと思っていた。
俺が死ぬところなんて、恋人に見せたくなかった。
けど、サシャは

サシャ「私はジャンの行くところには何処にでも着いて行きます」

俺に笑顔でそう言ってくれた。

結局、今回の壁外調査で生き残ったのは、俺の班とミカサの班だけだった。



それから何度も壁外調査に行ったが、お互い必ず帰ってくると約束をし、今俺たちは此処にいる。
巨人が全滅し、壁がなくなった今、人々は自由である。




何度目かわからない壁外調査で帰ってきたサシャと俺。
けど、その時俺らに明らか足りないものがあった。
サシャは生き残ったものの、両足を無くしていた。
サシャが言うには、両足を巨人に食わせる以外に、生き残れる術がなかったと。
俺は怒ったりしなかった。
どんな姿になろうとサシャがサシャであることは変わらない。
俺はありのままのサシャを愛した。


今、サシャは歩くことができないが、車椅子でなんとか移動は出来る。
出かけるときも俺が車椅子を押す。
しかし、料理はちゃんと作ってくれるのだ。
俺が作ると言ったら、ずっと座りっぱなしじゃ、おかしくなっちゃうます!!と言って、それ以来料理はサシャが作ってくれるのだ。
はっきり言って、サシャの料理は美味い。
かなり美味い。

初めて食べたとき、感動して、褒めまくったら照れてすっげぇ可愛かった。

そんな俺たちの間に子供を授かった。
サシャは確かに足は無いが、別に子供を産めないわけではなかった。

医者にその話を聞いたとき、二人で抱き合った。
サシャも泣いて俺も泣いた。
嬉しくて嬉しくて泣いた。

そして、子供が産まれた――

サシャ「可愛いですねぇ。目つきがジャンに似なくて良かったです」

ジャン「おい。それはどういう意味だ?」

サシャ「ふふwそのままの意味ですよ。でも、髪の色はジャンですね」

ジャン「目はサシャだな」

サシャ「そうですね....ジャン....」

ジャン「ん?」

サシャ「私、今夢があるんです」

ジャン「夢...?」

サシャ「はい。夢。私今すごく幸せなんです。前まで死と隣り合わせだったのに、今はジャンが居てこの子が居て。みんなでいつか海を見たいと思うんです」

ジャン「.....そんなの今すぐにでも行け サシャ「でも!私には足がありません.....」.....」

サシャ「私のこの足じゃ海までいけません。だから、だから.....この子には世界を見てきて欲しい。自由に生きて欲しい.....そう思うんです」

サシャは、下を向いて泣いている。
昔からそうだ。
サシャは自分が何の取り柄もない人間だと思ってる。
いつもは馬鹿元気なのに、こういう時に変にネガティブだ。

ジャン「お前は....足がないから遠くへは行けないってそう思ってんのか?」

サシャ「はい....」

ジャン「それはとんだ勘違いだ。お前言ったじゃねぇか。ジャンが行く所には何処にでも着いて行きますって......忘れたのか?」

サシャは左右に首を振った。

サシャ「そんなことありません」

ジャン「...だったら、俺が海に行くならついて来てくれるんだろ?」

サシャ「けど、私なんて....ただのお荷m ジャン「俺がお前の足になってやる。だから、泣くんじゃねぇよ....」....ジャン.....」

サシャは泣きやみ、顔をあげて

サシャ「.....さっきの夢は訂正します」

ジャン「おう...」

サシャ「3人で、海行きましょう....!」

今までにない、満面な笑でサシャは言った。







そして3人は、普通の人の倍の時間をかけて海にだどりついたのだ―――――












end.

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