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□春雪
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ジャン→サシャ
・・・・・・・・・・・・・・・・・

明日俺は卒業する。
この3年間色々あった。
俺的には充実した3年間だと思ってる。

だが、まだ心の奥に閉じ込めてる想いがある。



サシャ「ジャン!」

ジャン「サシャ....」

サシャ「どうしたんですか?元気ないですね」

ジャン「別に....」

サシャ「もしかして、私と一緒に下校するの明日で最後だからですか?」ニコニコ

ジャン「ギクッ!ち、ちげぇよ!!」

サシャ「嘘ですよぉ〜wジャンはミカサ一筋ですもんね!」

ジャン「......」

心の奥に閉じ込めてる想い。
それは、サシャが好きだということ。


入学当初は、ミカサに一目惚れして、何度もアタックしたつもりだ。
けど、ミカサは俺じゃなくて、エレンしか見てない。
高校2年の夏に思い切って告白したが、もちろんフラれた。
あれは確か、体育館裏で俺がフラれて泣いてた時、サシャに見つかった。
恥ずかしくなって逃げ出そうとしたが、俺はサシャの姿を見て足が止まってしまった。
弓道部のサシャは道具を取りに、たまたま体育館裏に来ただけだったが、もちろん部活中のサシャは、袴を履いていた。
その姿が余りにもかっこよく、美しかった。
泣いている俺を見てもサシャは俺を笑ったりしなかった。
むしろそんな俺にタオルを黙って渡してくれた。

サシャ「泣きたい時は、たくさん泣いてください。きっとスッキリします」

サシャはそう言うと、弓道道具を持って去っていった。
そのうしろ姿がなぜか俺を安心してさせた。

サシャが去ったあと結局一滴も泣かなかった。
なんでかはわからなかったが、一人になりたかった俺は、しばらくそこでぼんやりしていた。
その日は、そのまま家に帰った。
帰りに弓道場を見たが、誰もいなかった。

ジャン(タオルを返そうと思ったが、明日一応洗って返すか....)

次の日、なかなかタオルを返すことが出来なかった。
ユミルやコニーに邪魔され、話しかけられなかったのもあるが、いつものように気楽に話しかけることが出来なくなっていた。

結局、タオルを渡せぬまま放課後。
俺はサシャの部活が終わるまで校門で待ってることにした。
携帯を弄りながら待っていると、後ろからいきなり抱きつかれた。

ジャン「おい...!誰っ!?......サシャ?」

サシャ「ジャン...何か食べ物を....なんでもいいんですなんか下さい」

そこには、お腹を抑えながら死にそうな顔をしているサシャだった。

カバンの中を見てみると、誰から貰ったのか覚えていない飴があった。若干溶けている。

それをサシャに差し出すと、

サシャ「ありがとうございます.....!!」

飴を口に含み、いつものサシャに戻った。

ジャン「そんなもんで悪いな...」

サシャ「いえ!すごく助かりました!」ニコニコ

ジャン「な、なら、いいけどよ....」

恥ずかしくなって、サシャから目をそらした。

前までは、こういうのがうざったいと思ったが、今は思わなかった。むしろ、嬉しいと思う。

ジャン「あ、そうだ....」

サシャ「?」

ジャン「コレありがとな」

サシャに昨日借りたいタオルを返した。

サシャ「あの、もしかして....コレを返す為に待っててくれたんですか?」

ジャン「本当は、昼間渡そうと思ったんだけどな。なかなか渡せなくてよ....」

サシャ「そうなんですか....手間かけさせちゃってすいません...」

ジャン「気にすんな。俺が好きで待ってたんだし。ちゃんと洗ったから」

サシャ「え、すいません!ありがとうございます!...こんな汗臭いの渡しちゃってすいません...」

ジャン「....そんなことねぇよ。助かった」

サシャ「いえ....じゃあ、そろそろ帰りますかね!途中まで一緒にいいですか?」

ジャン「ああ...」

その日から俺たちは一緒に帰るようになった。
サシャの部活が終わるまで、俺は教室か図書館で勉強したり本を読み、時間になったら校門に行き、サシャと他愛もない話をしながら帰った。


いつからかわからないが、俺はサシャに惹かれていた。
いや、あの日、体育館裏で会ったとき既に惹かれていたのかもしれない。
だから、あの後涙1つ出なかったのかもしれない...と俺は思ってる。
それからか、サシャに想いを告げようと思ったが、この関係が壊れるのが嫌で結局言い出すことができずに、卒業前日の今に至る。

サシャ「ジャン?」

ジャン「.....あ?」

サシャ「もう、話聞いてました?」

ジャン「あ、悪い....」

サシャ「今日のジャンはやっぱりおかしいですね」

ジャン「そう...かもな.....」

サシャ「.....そういえば、ジャンはどこの大学行くんですか?」

ジャン「地元の四大だ」

サシャ「大学ですか...すごいですね!」

ジャン「お前は?」

サシャ「私は専門学校ですよ。私、パティシエになりたいんです」

ジャン「パティシエか...サシャらしいな。でも、この辺にそんな専門学校あったか?」

サシャ「ないですよ。というか、私日本の専門学校は行きませんよ」

ジャン「...は?」

サシャ「海外の専門学校行くんです」

ジャン「....」

言葉が出なかった。
いつも一緒に帰ってたのに、進路の話なんて今したのが初めてだった。
サシャもどうせ地元の短大、大学、専門学校行くんだろうと思ってた。
だから、俺も地元にした。
なのに....

ジャン「...なんでわざわざ海外行くんだよ...」

サシャ「パティシエになるためには、海外で修行しなきゃいけません。私は将来自分のお店持ちたいって思ってるんです。だから、海外に行きます!」

ジャン「サシャ....」

夢を語ってるサシャがすごくキラキラしていた。

ジャン「いつ、出発なんだ?」

サシャ「卒業式の3日後です」

ジャン「...!う、嘘だろ...?」

サシャ「嘘じゃありませんよ?お父さんに言われたんです!入学式の前に早く行ってその場の環境になれたほうが良いって。だから、結構スケジュールきついんですよね...えへへw」

ジャン「....」

笑ってるサシャの隣で俺はショックでしかたがなかった。
いつもの通ってる慣れた坂道がやけに遠く感じた。




卒業式後――−−‐‐


教室で皆泣きながら、ぐちゃぐちゃの顔で抱き合きあったりしていた。
でも、俺は泣けずにいる。
もちろん、みんなとの別れは悲しい...けど...

エレン「なぁ、ジャン」

ジャン「なんだ」

エレン「お前泣いてないんだな」

ジャン「お前にその言葉そっくり返す」

エレン「ジャン...お前今日様子おかしかったぞ」

ジャン「....」

エレン「式の時もボケーっとして、一斉に立つときとか立たなかったりさ...なんかあったのか?」

ジャン「別に...なんもねぇよ...」

エレン「...そうか。まぁ、お前とじゃ大学も同じだしな、またよろしくな」

ジャン「ああ...」

エレン「...なんかあったら言えよ」

ジャン「ああ...」

エレン「...」




ジャン(後3日か...俺は想いを告げたい!けど...)


帰り道―――−−−‐‐

サシャ「今日で最後ですね。この道通って帰るのも」

ジャン「そうだな...」

サシャ「今日はたくさん泣いちゃいました。ああ、目が腫れて...」
サシャは鏡を取り出し、顔を確認する。

ジャン「...サシャは好きなやつとかいないのか?」

サシャ「いきなり聞きますね」

パタンッ...
サシャは鏡をカバンに仕舞う。

サシャ「好きな人はいませんよ...」

ジャン「本当か...?」

サシャ「はい。将来のこと考えたら恋愛なんてしてる場合じゃないなって。パティシエはすごく厳しい世界なので...。仮に好きな人がいて両思いでも、多分、付き合わなかったと思います」

その言葉が胸の奥に刺さった。
俺がサシャに告白しても、それはサシャにとって邪魔でしかないんだと悟った。

サシャ「ジャンはミカサですもんね!早くしなきゃエレンに取られちゃいますよ?」

ジャン「もうミカサはいいんだよ...」

サシャ「え?他に好きな人できたんですか?」

ジャン「....」

サシャ「図星ですかwミカサより綺麗な人なんでしょう。ちょっと見てみたいですw」

それはお前だ。なんて言えない。
ふと、サシャの手に目がいった。
手だけでも、そう思い手を伸ばそうとした。

サシャ「フフーン♪家に帰ったらケーキ!」

サシャはスキップをしだし、俺を置いていく。
俺は咄嗟にサシャを呼んだ。
サシャは振り向くと、笑顔で何ですか?と答えた。
その笑顔が可愛くて、俺にとってはすごく眩しかった。

そのまま家に送って、サシャに別れを告げた。
まだ、空港でみんなでサシャを送り出すときに会える。
そう思うと、嬉しかった。


サシャが海外にいくまでの間、俺は決めた。
サシャにこの想いは告げないと。
告げたら、サシャがきっと悩んでしまう。
将来の邪魔にはなりたくなかった。
それに、この仲が壊れるのが一番怖かった。


空港―――−−‐‐

クリスタ「ううぅ〜サシャァ...」

サシャ「クリスタ、そんなに泣かないでくださいよぉ」

クリスタ「だってぇ...サシャに会えなくなるのも辛いし、サシャがすごく心配...グスッ」

サシャ「大丈夫ですよ!英語だけは得意ですから!」

ユミル「そういう問題じゃねぇよ」

ミカサ「サシャ頑張って。応援してる」

サシャ「ミカサっ!ありがとうございます!」

ミカサ「サシャは出来る子。ので、大丈夫」

サシャ「うう...ミカサァ...私頑張ります!」

ミカサ「うん」




エレン「ジャン。なんで、俺の後ろに隠れてるんだよ...」

ジャン「別に...関係ねぇだろ」

エレン「...お前さサシャのことすきだろ」

ジャン「なんで知って...!?」

エレン「なんとなく。最近の様子見て思ったんだよ...言わなくていいのか?」

ジャン「いいんだよ...」

エレン「だって、もう会えるかわかんねぇぞ」

ジャン「...それでも、サシャの為なんだ」

エレン「...よくわかんねーけど、後悔すんなよ?」

ジャン「ああ...」

エレン「あ、サシャ...」

サシャ「ジャン!あの...本当に色々ありがとうございました。色々おごらせちゃって...悪いと思ってます...」

ジャン「本当だよ」

サシャ「ッム」

ジャン「でも、また俺におごらせてくれ」

サシャ「本当ですか!?ジャン、ありがとうございますぅぅううう!!」

ジャン「おい!抱きつくなよっ!」

サシャ「すいませんw」

ジャン「まぁ、いいけどさ...あと頑張れな」

サシャ「はい!絶対パティシエになって、自分のお店持ってやりますよ!」

ジャン「じゃあ、そのお店に一番最初にケーキ買いに行ってやる」

サシャ「本当ですか!?約束ですよ!」

ジャン「ああ、約束だ...」

サシャ「ふふwあ、そろそろ飛行機の時間が!それじゃ、みなさんまた!」

クリスタ「サシャ!たまには帰ってきてよ!」

ユミル「じゃあな、芋女」

エレン・コニー「じゃあな!」

ベルトルト・ライナー「またね(な)」

ミカサ「さよなら」

俺はただ、小さく手を振った。
小さくなっていくサシャの背中を静かに見届けていた。





空港の外に出ると、少し雪が降っていた。
その空の中を飛んでいく飛行機。
きっと、あれにサシャは乗っている。

「好きだ」
言い出せなかった事

3月の別れの日
春雪を見ながら、頬を冷たく伝うのは雪ではなく...

ジャン「っ....」

俺の涙だった。

end.


the GazettEの【春雪の頃】という曲を材料にして書きました。the GazettE大好きなんです.....すいません(ノω`)
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