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□LAST HEAVEN
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ここはどこだろう。
ただ白い景色が広がっている。
ああ、そうか私は......
死んでしまったんですね。
星になって私は貴方を見守ります。
LAST HEAVEN
゚・*:.。. .。.:*・゜
ジャンはサシャを失ってから、ただ空を眺めていた。昼間も夜も。
遠い空を眺めて、流れ星が流れた時はジャンは何を思ったのだろう。
エレンは共に戦ってきたジャンがサシャを失ってから、どこか遠くを見ていることに不思議に思った。
「ジャンは流れ星に何を願ったんだ?」
ジャンは振り向いて驚いていた。
就寝していなければならない時間だったからだ。
「.....俺も星になりたいなって思ったんだ」
ジャンの言っている意味が、この時の俺には分からなかった。
十数年後。俺達人類は巨人に勝利した。
巨人の謎も解明され、人類を脅かす者はいなくなった。
そして、ジャンが行方不明になった。
「エレン。見つかった?」
「だめだ...見つからない....」
「こっちも。どこにもいなかった」
「クリスタとコニーは?」
「まだ探してる」
朝、リヴァイ班で最後の朝食を取るために部屋に集まるのだが、ジャンが来なかったので呼びに行ったらジャンが部屋から姿を消したのが事の始まりだった。
「あの日から、ジャンは穏やかになったよね」
アルミンの言うあの日とはサシャの命日だろう。
「そういえば今日は.....!」
「エレン。そうだ今日はサシャの命日......」
「サシャの墓には行ってないよな...?」
「何か。嫌な予感がする」
ジャンは朝誰よりも早く起きて、部屋を出た。
大きな薔薇の花束を持って。
向かう先は決まっていた。
サシャが眠っている場所。
ジャンは花束を置いた。
「サシャ....俺はもう....十分頑張ったよな...?」
返事はない。当たり前といえば当たり前だが、ジャンには何か聞こえたのか。
今までに見たことがないぐらい、優しい顔をしていた。
「待っててくれ」
ジャンは空を見た。
そして、ジャンはサシャの墓石の隣に座り、ポケットから1つ薬を取り出し、飲み込む。
「これでやっとサシャに会えるな.....流れ星に願ったおかげだ.......」
ジャンは最期に頬を濡らした。
「これでずっと一緒だ....」
遅かった。
ジャンの身体は既に冷たくなっていた。
「そんな.....なんでっ」
ミカサは動揺した。
ジャンは墓石に優しく寄り添っていた。
沈黙の中エレンが口を開いた。
「ジャンの願いはこれだったんだな.....」
今やっとわかった。あの時の願いの意味。
「願いって...?」
アルミンは不思議と冷静だった。いつかこんな時が来るのではないかと思っていたから。
「ジャンはサシャと永遠でいたかったんだ。だからこの道を選んだ」
「.....ジャンらしいね。空の上で幸せになって欲しいな」
アルミンは優しくジャンに声をかける。
少しジャンの表情が笑っている。
ような気がした。
クリスタとコニーも駆けつけたが、クリスタは何かわたし達にはできることはなかったのかと涙が止まらなかった。
「これで良かったんだ....二人はきっと生まれ変わってもずっと一緒だろうね」
ジャンは十分頑張ったはずだ。
でも....
「ジャンには巨人のいない世界で、幸せに生きて欲しかったな」
「エレン。私もそう思う。サシャの分まで生きて欲しかった」
叶わう夢。
最期、きっと天国に旅立ったであろう。
End
後書き
久しぶりの更新が死ネタで申し訳ない