おとなの夢

□Infection
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一瞬、この世から音がなくなったのかと思った。

一拍置いて心臓が早鐘のように打ち始める。
もう寝るだけだと思ってたから下着つけてないんだった!
自分の胸の形が彼の隆々とした背中に合わせて変わっているのが分かる。
…って事は弦一郎も気付いちゃった!?

嵐のように回る思考に、微かに人の声が混じる事に気付いた。





「――――だよ!?バレたらどうするの!?」

「平気だって!こっちなら人気ないし。風呂上がりに誘うようなカッコしてる方が悪いだろ!」

「浴衣はみんな一緒でしょ!…ってンっ…」


そんな事言ってるワリにはその気っぽくね?なんて楽しそうな男の子の声と、アッ…ンと細かく漏れる女の子の声。


どうやら物干し場から少し離れた建物の陰に誰かが来たらしい。
私たちがここを離れるには元来た道を戻るしかない。


「…た、たるんどる!!」


ちょっと鈍めの真田もさすがに状況を察知する。
これ以上になれば突破するタイミングをなくしてしまうだろうと。


ガシッ!!


そんな動こうとした真田を制したのはお名前だった。
真田の腰に回したままだった細い腕になけなしの力がこもる。


「…なっ!!」


真田が絶句している。
必然的に潜まった声で二人とも掛け合う。


「…げ、弦一郎ごめん!さっき躓いた時浴衣の裾踏んじゃって…帯が解けちゃったの!す、すぐ直すからちょっと待って!」


その間も見知らぬ男女の声は絶えない。
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