おとなの夢

□Infection
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やっぱり弦一郎についてきてもらってよかったなぁと思う。
建物の裏手は炊事場や洗濯場だけなので、日中は騒がしいが今はひっそりとしている。
さらに物干し場は建物の陰の行き止まった場所だった。
昼間は爽やかに揺れる木々も、夜の暗闇をまとえば不気味な影がざわめいているようにしか見えない。


「これで全部か?」

「うん、ありがとう。やっぱり弦一郎が一緒でよかった。すぐ近くだけど夜だと怖いかも。」

「…無闇に一人歩きはするな。どんな輩がいるか分からんからな。」

「…うん!」


弦一郎が心配してくれているのが伝わって嬉しい。
表現はちょっと不器用かもしれないけど、すごく優しいんだよね。

よし、それでは行くかと彼が踵を返す。
それに続こうとした時だった。


「――――!!」


木の根に躓いて抱えていたタオルたちが宙を舞う。
意図せず前を歩いていた彼の背中に抱き付く形になる。
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