ながい夢
□あの夏のかおり
2ページ/22ページ
「また遅れるとはたるんどる!!」
怒号に続いてゴツンと鈍い音がする。
「いってぇ〜!何するんすか副部長!」
お決まりの涙声も聞こえる。
朝から賑やかな部室じゃのーなんて呆れたような笑い声もする。
本当にいつも通りの朝…のハズなんだけど。
「菜々子、観念して入ってきたらどうだ?」
うぅ、参謀にはバレバレですか。
朝練前の部室のドアの前で一部始終を聞いていたけど、もう後にも先にも引けない。
恐る恐るノブを回す。
「お…おはようござ…」
「菜々子!マネージャーまで遅刻とは何事だ!たるんどるにも程があるぞ!」
やっぱり皇帝のカミナリ直撃!
「菜々子さん、少し髪が乱れていますよ。よかったらこれ使ってください。」
上品な櫛を渡される。
こんな時でもさすがジェントルマン。
「お前また遅刻かよい!?」
「そういえば転校初日も派手に遅刻してきたよな」
うるさいぞガムファイヤーダブルスめ。
それを眺めながらクスクスと笑う我が立海の神の子。
笑う度に肩に羽織ったジャージが少し揺れて。
カミナリはしばらく落ち続けたけどこの笑顔が見れたならいっか☆なんて思う私はかなり重症だと思う。
神様なんて手が届かないけれど。