ながい夢
□Rabbit☆Rabbit
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だって私、二人とも好きだ。
「菜々子せんぱいっ!」
イチゴみたいな甘い香りがふんわりと私を包む。
「陽菜ちゃん重いよー。」
部活前、部室のベンチに座っていたら急に後ろから抱き付かれた。
サラサラの髪を元気に束ねたポニーテールが首筋をなぞってくすぐったい。
「だって先輩と週末挟んで久々の再会ですしっ!充電させてくださ〜い!」
こんなのでいいならどうぞどうぞ〜☆と笑いながら答える。
私の背中にくっついているのは我が立海テニス部看板マネージャーの陽菜ちゃん。
おとなしく座っていれば百合みたいにキレイなのに、立てば向日葵みたいに元気な女の子だ。
「陽菜!少し静かにせんか!!」
キャーっと大袈裟な悲鳴をあげながら陽菜ちゃんがコートに駆け出して行く。
雷を落とした張本人はやれやれと言いながらも顔を弛めていた。…のだけれど。
「…アイツはまだ来ていないのか?」
「いつもの事じゃろ。」
黒いオーラが少し見えるのは私の気のせい…かな。
「フフ、懲りない子だねまったく。」
部室が涼しくなった気がする…な。
思わずフッと吹き出す。
いつもと変わらない、こんなありふれた時間が愛しくて。