夕彩。

□君の瞳に閉じ込めた星空
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「君の瞳に閉じ込めた星空」



都会、…本島から離れた神威島は静かだ。
自然が多く、夜になると電気が点いている所は寮くらいになり、それ以外は真っ暗。
今、私が歩いている道も然り。
うっすらと点いている街灯以外は、柔らかな月光位しか光を灯すものはない。


因みに今の時間は11時を過ぎた位。
門限もとっくに過ぎているし、早い子はもう眠って、夢の世界なんだろう。
まあ、実際こんな夜中に外出しているのがばれたら大変なことになる。
けれど、私は頻繁に夜の散歩をしているのだけれど。


神威島はとっても空が綺麗。
都会のようにキラキラとした灯りもなければ、空気も綺麗。


それに、冬に近づいて来たからか空気が澄んでいるし、何より今日は星達が今年で一番綺麗に見えた。
そんな素敵な夜なのに、寝てしまうのは勿体無い。


という訳で、パーカーとCCMだけを持って、外に飛び出してきた。


大丈夫、ばれてないはず。
トメさんに見つからなければセーフ。
ハルキに見つかったらそれはそれでお説教を長々とされるからまずい。
因みに、どちらのコースもおまけにヒカルが付いてくるからタチが悪い。


まあ、どちらにしろ見つからなければ大丈夫なのには変わりない。



「あー…寒い、」


パーカーのポケットに手を入れているけれど、寒い。
もう少し温かい服を着てくれば良かったと後悔。
せめてマフラーを持ってくれば良かった。


はあ、と息を吐けば白い息が出た。


季節はもう11月の半ば。
一応、まだ秋だけど十分寒くなってきた。
もうすぐ冬になって、本格的に寒くなってくる。
新しいマフラー、買おうかな。もこもこのやつ。


ぬるい温かさの手で冷えた頬に当てると少しだけじんわりと頬が温かくなった。
けれど寒いものは寒い。
もう少し歩いたら帰ろうかな。


そう思いながら歩を進める。


特に行きたい所はないけど。


……海。海でも見たら帰ろうかな。


私は海が好きだ。
静かで、綺麗で落ち着く。
今日は月が綺麗だから、海面に月が映っているだろう。


足をカモメ公園へと向ける。
寮に近いし、遅くはならないはず。


もすり、とポケットに手を突っ込んで再び歩こうとした。



「鈴都、」


聞き覚えのある声。…いつもよりトーンが低いけれど。


……怒ってる声だ。これはまずい。


「や、やあヒカル君、こんばんは、そしてさようなら」


逃げるが勝ちだ。
振り向いて早口で言うと走り出す。


まあ、そんな上手くいくはずもなく。


「っ、わあっ!」


ぐいっと腕を引っ張られて、ぼすりと引き寄せられる。
それから頬をむにーっと引っ張られた。


「い、いひゃいよ、 ひはう!」


「五月蝿い」


ぎゃあぎゃあと騒いでやると、左頬をむにーっと引っ張るヒカル。
痛い。容赦無いな、この野郎。


更に怒らせるとちょっと大変な事になる事は目に見えてる。
ということで大人しく黙ることにした。





*、
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