小説

□キャンディ
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キャンディDAY☆

「キャンディ?」

「ああ、なんでも街で人気の砂糖菓子だよ。」

エルヴィンはそういうと引き出しから瓶を取り出した。
中には色とりどりの丸いガラスのようなものが数十個入っている。

見る角度を帰ると色を変え、多様に輝く。
とても口に含む類の物にはみえない。

「砂糖菓子....ってことは甘いんだよな?」

「ああ、これをリヴァイにあげようと思って取り寄せたんだ。」

「ふむ」

差し出してきた瓶を受け取りまじまじ見つめていると
クスクスとエルヴィンに笑われ、恥ずかしくなってしまいその部屋から逃げるように立ち去った。

「ふむ、キャンディ....キャンディ.....」

名前を忘れないようにキャンディ...キャンディとつぶやく。

広間に行くと、ハンジとエレンがいた。
二人の様子を見た所また数時間話し合ってた(ハンジが一方的に)様子である。

「それでね....っと、リヴァイ!...ん〜?それなあに?」

リヴァイの手に収まっているキャンディに気がつき早速質問してきた。

「これはキャンディというものでな、さっきエルヴィンから貰った。」

「へ〜」

「綺麗ですね!」

瓶をコトっと机に置き椅子に座った。
ハンジは机に寝転がる様に瓶に見入った。

「この表面に付着してるのは砂糖だね、きっと本体の方も砂糖を溶かして固めた物かな?」

よくわからないけど、と付け加え瓶を手に取ろうとするとスッとリヴァイが奪った。

「まて奇行種。俺が貰ったんだから俺が開ける。」

「あ〜はいはい!はやく〜」

エレンがリヴァイのとなりの椅子に座ったのを確認したらリヴァイが力を込め瓶の蓋を開けた。

蓋を机におくと、ふわんと甘い匂いが漂った。
優しい甘ったるい匂いに自然とその場が和んだ。

「いい匂いしますね!」

「だね〜リヴァイはやく頂戴!」

「わかった....」

リヴァイは瓶から薄い赤色のキャンディをハンジへ、濃い黄緑色をエレンに渡した。

二人は受け取ったキャンディを口に含んだ。
含んだ途端みるみる顔が綻んだ。

「これすごく甘くて美味しいです!」

「そうだね〜甘い!」

二人の様子を伺ったあと、リヴァイは水色のキャンディを口に含んだ。

今までに食べたことがないような、
なんとも言えないような味に不思議と頬が緩んだ。

「こんな美味しいもの生まれてはじめて食べましたよ!」

「私も〜」

そうだ。
俺もはじめて食べた。
もちろんゴロツキをしていた頃だって
調査兵団で兵士長をしている今だって。

過去を振り返るとかつての仲間、リヴァイ班の班員の顔が浮かんだ。

「あいつらにも食わしてやりたかったな。」

ポツリとつぶやいたリヴァイの一言で会話を繰り広げていたハンジとエレンを黙らした。

「え......?」

「リヴァイ?」

リヴァイは瓶の中に指をいれ橙色のキャンディを皿の上に軽く離した。

「橙色がペトラ。」

濃い黄色を出す。

「これがエルド。」

暗い紫を出す。

「これがグンタ。」

透明感のある白を出す。

「これがオルオ。」

すべてを出し終わると瓶を閉めた。
ハンジは何も言えず皿に出されたキャンディを見つめている。
エレンは俯き涙目になっている。

「......なんてな.....」

リヴァイは勢いよく立ち上がった。
それにビクッと反応した二人。

「チッ、さっさとしろエレン。掃除の時間だ。」

「あっ!はい!!」

「それじゃあ私はこれで.......」

「おいハンジ。人数が足りねえ、手伝え」

「はあー....はいはい!」

エレンとハンジを先に部屋からだし、リヴァイが瓶を見つめた。

「良かったら食ってくれ。」

窓から風が吹き込み甘ったるい匂いがリヴァイを包む。

その風に背を押されながら部屋を後にした。

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