もにょもにょ。(O*N)

□たのしみにしてた日曜日。
1ページ/1ページ

side:O


それはニノとデートする日の、朝・・・。


いつも家でゲームするだけで。
それじゃ俺に悪いからって、海に行こうと言ってくれたニノ。



〜♪ 〜♪ 〜♪
携帯が鳴った。

ディスプレイには

 二宮和也

と表示されていた。


智:もしもし?ニノ?どうした??

和:・・・頭痛い・・・風邪ひいたみたいで・・・


今にも泣きだしそうなニノ。


智:わかった!すぐ行くから!!!


電話を切って、猛ダッシュで着替え、家を飛び出した。



ニノの家に向かうためにタクシーに乗った。
途中、小さなスーパーに寄ってもらった。


あいつ、食べることに無頓着だから。
きっと飯も食わないで寝込んでるんだろう。

とはいえ、何を買えばいいのか・・・。

しばらく考えて、りんごとプリンだけ買って、タクシーに戻る。


ニノの住むマンションに着いた。
エントランスを走り抜け、ニノの部屋のドアの前。

ピンポーン♪

チャイムを鳴らした。

・・・出てこない・・・。
いつもなら、すぐにドアを開けて迎え入れてくれるのに。
まさか、そんなに重症!?!?
・・・なんて考えてたら、やっとドアが開いてニノが顔を出す。

・・・ニノ、顔、真っ赤!!


智:だ、大丈夫?

和:・・・大丈夫・・・じゃない・・・


ポソッと呟いて、口をとがらせた。
子供みたいな表情が、不安そうな表情が、
たまらなく可愛い。


智:お邪魔するよ。


勝手知ったるニノの部屋。
スタスタ中に入った。

俺の後ろからトボトボついてくるニノ。

そうか、弱るとこいつ、こんなになっちゃうんだ・・・。
なんでだろ、可愛いし、嬉しい。
ニノが風邪ひいたことが嬉しいんじゃなくて。
俺にだけ、そういう弱い部分を見せてくれるのが嬉しいんだ。


和:・・・海。

智:ん?


ニノが部屋の入り口で立ち止まって呟く。


和:海。行きたい・・・。


泣きだしそうなニノを軽く抱きしめて、ベッドへ連れていく。


和:いつも家でしか会えないから・・・
  一緒に海に行けるの楽しみにしてたのに・・・


ぽつりぽつり話すニノ。

俺はリンゴを剥きながら、それを聞いてた。


和:・・・料理しないのに包丁触れんの?

智:お、待ってろよ〜!ウサギさんにしてやる!!


完ぺきにウサギさんの形にしたリンゴをニノの前に置く。


和:すごっ!リンゴ剥いたっていうより、彫刻・・・??
  普通は皮を使って耳作るだけでしょう・・・


クスクス笑うニノ。
俺の"ウサギさんりんご"。
リアルに再現してみましたーっ☆
確かに彫刻かもね。


智:すげーだろ!いいからそれ食って、薬飲めよ。

和:どこから食べればいいかわかんない。なんか可哀想・・・


言いつつ、ウサギのおしりを齧った。

気がつけばさっきより息が上がってる気がする。
起き上がってたのがよくないのか・・・


智:ほら、風邪薬。ちゃんと飲んで。

和:・・・にがいぃ・・・


風邪薬がよっぽど苦かったのか、涙目で残ってたリンゴで口直しをするニノ。


智:ほら、寝ろよ。


ベッドに寝かせて、布団をかける。
肩をぽんぽん叩いてやると、ちょっとくすぐったげにニノは笑った。


和:・・・眠い・・・

智:だから寝ろって。

和:・・・寝ちゃっても帰らない?

智:ちゃんとここにいるから。

和:・・・海、行きたかったね・・・


まだ海にこだわるニノが、なんだかすごく可愛くて髪を撫でる。


智:来週行こうな。おやすみ。

和:ん。おやすみなさい・・・


目を閉じて、すぐに寝入ったニノ。
赤い頬。汗ばんだおでこ。

おでこに張り付いた前髪をそっと払いながら、俺は幸せだった。

インドアな自分に付き合わせて悪いって、突然俺の好きな海に行こうと言いだしたニノ。
風邪、つらいだろうに・・・何度も「海に行きたい」って子供みたいに繰り返して。


どれくらいだっただろう。
気づいたら俺までうたた寝してた。
ニノの寝息は、さっきより穏やかになってた。



海には行けなかったけど。
風邪、ひいちゃったけど。

でも俺はすごく幸せで、嬉しくて。



たまにはこんなデートもいいかな



海は逃げないから。来週にでも行こう?


Loving you...





【Fin.】


『たのしみにしてた日曜日』(album「遠雷」)
   by:黒田倫弘

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ