もにょもにょ。(O*N)
□たのしみにしてた日曜日。
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side:O
それはニノとデートする日の、朝・・・。
いつも家でゲームするだけで。
それじゃ俺に悪いからって、海に行こうと言ってくれたニノ。
〜♪ 〜♪ 〜♪
携帯が鳴った。
ディスプレイには
二宮和也
と表示されていた。
智:もしもし?ニノ?どうした??
和:・・・頭痛い・・・風邪ひいたみたいで・・・
今にも泣きだしそうなニノ。
智:わかった!すぐ行くから!!!
電話を切って、猛ダッシュで着替え、家を飛び出した。
ニノの家に向かうためにタクシーに乗った。
途中、小さなスーパーに寄ってもらった。
あいつ、食べることに無頓着だから。
きっと飯も食わないで寝込んでるんだろう。
とはいえ、何を買えばいいのか・・・。
しばらく考えて、りんごとプリンだけ買って、タクシーに戻る。
ニノの住むマンションに着いた。
エントランスを走り抜け、ニノの部屋のドアの前。
ピンポーン♪
チャイムを鳴らした。
・・・出てこない・・・。
いつもなら、すぐにドアを開けて迎え入れてくれるのに。
まさか、そんなに重症!?!?
・・・なんて考えてたら、やっとドアが開いてニノが顔を出す。
・・・ニノ、顔、真っ赤!!
智:だ、大丈夫?
和:・・・大丈夫・・・じゃない・・・
ポソッと呟いて、口をとがらせた。
子供みたいな表情が、不安そうな表情が、
たまらなく可愛い。
智:お邪魔するよ。
勝手知ったるニノの部屋。
スタスタ中に入った。
俺の後ろからトボトボついてくるニノ。
そうか、弱るとこいつ、こんなになっちゃうんだ・・・。
なんでだろ、可愛いし、嬉しい。
ニノが風邪ひいたことが嬉しいんじゃなくて。
俺にだけ、そういう弱い部分を見せてくれるのが嬉しいんだ。
和:・・・海。
智:ん?
ニノが部屋の入り口で立ち止まって呟く。
和:海。行きたい・・・。
泣きだしそうなニノを軽く抱きしめて、ベッドへ連れていく。
和:いつも家でしか会えないから・・・
一緒に海に行けるの楽しみにしてたのに・・・
ぽつりぽつり話すニノ。
俺はリンゴを剥きながら、それを聞いてた。
和:・・・料理しないのに包丁触れんの?
智:お、待ってろよ〜!ウサギさんにしてやる!!
完ぺきにウサギさんの形にしたリンゴをニノの前に置く。
和:すごっ!リンゴ剥いたっていうより、彫刻・・・??
普通は皮を使って耳作るだけでしょう・・・
クスクス笑うニノ。
俺の"ウサギさんりんご"。
リアルに再現してみましたーっ☆
確かに彫刻かもね。
智:すげーだろ!いいからそれ食って、薬飲めよ。
和:どこから食べればいいかわかんない。なんか可哀想・・・
言いつつ、ウサギのおしりを齧った。
気がつけばさっきより息が上がってる気がする。
起き上がってたのがよくないのか・・・
智:ほら、風邪薬。ちゃんと飲んで。
和:・・・にがいぃ・・・
風邪薬がよっぽど苦かったのか、涙目で残ってたリンゴで口直しをするニノ。
智:ほら、寝ろよ。
ベッドに寝かせて、布団をかける。
肩をぽんぽん叩いてやると、ちょっとくすぐったげにニノは笑った。
和:・・・眠い・・・
智:だから寝ろって。
和:・・・寝ちゃっても帰らない?
智:ちゃんとここにいるから。
和:・・・海、行きたかったね・・・
まだ海にこだわるニノが、なんだかすごく可愛くて髪を撫でる。
智:来週行こうな。おやすみ。
和:ん。おやすみなさい・・・
目を閉じて、すぐに寝入ったニノ。
赤い頬。汗ばんだおでこ。
おでこに張り付いた前髪をそっと払いながら、俺は幸せだった。
インドアな自分に付き合わせて悪いって、突然俺の好きな海に行こうと言いだしたニノ。
風邪、つらいだろうに・・・何度も「海に行きたい」って子供みたいに繰り返して。
どれくらいだっただろう。
気づいたら俺までうたた寝してた。
ニノの寝息は、さっきより穏やかになってた。
海には行けなかったけど。
風邪、ひいちゃったけど。
でも俺はすごく幸せで、嬉しくて。
たまにはこんなデートもいいかな
海は逃げないから。来週にでも行こう?
Loving you...
【Fin.】
『たのしみにしてた日曜日』(album「遠雷」)
by:黒田倫弘