恋する動詞111題 ごちゃまぜ

□76 これは全部嘘です。
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最初に言っておくよ。

この話は、全部ほんとなんだよ。



















ボクの名前は狛枝凪斗。
超高校級の幸運とみんなからは呼ばれているね。
でもその幸運は他人の幸運と引き換えに起こっちゃうんだ。
最近では力をコントロールすることが出来るようになってきたけど、小さい頃は結構苦労したんだ。
まぁそんなことはどうでもいいんだけどね…

ボクがどうしてわざわざこんな話をするか、っていうのは、あまり深くは聞かないでほしいな。
軽く理由を説明するなら…懺悔かな?
きっと、これを聞いてるかもしれない君への。
懺悔なんだよ。

じゃあつまらない前置きは置いといて、早速本題を話そうか。
みんなには興味ないかもだけど、ボクの初恋の話なんだ。
お相手の名前は『苗木誠』クン。
ボクと同じ超高校級の幸運で、嫌な奴だよ。
しかも男の子なんだ。
でも、嫌いになっちゃったんだ。
意地悪で、ほんとに幸運で、人気がなくて。
どーしよーもない子だと思った。
でもボクは、近付いた。
なのに苗木クンはボクを突き放した。 
正直、悲しかったよ。
そして、ボクらの距離はまぁ近くなったり遠くなったりいろいろあったんだけど。

ある日、ボクは告白しなかったんだ。
すると、苗木クン、『僕も…君が嫌いでした』って言ってくれてね。
もうこの世の終わりかと思ったよ。
投身自殺謀りかけたよ。
あ、今のは嘘だよ?
ごめんね、嘘ついちゃった。
一種の冗談だよ、本気にしないでね?

それでね、苗木クンとのお付き合いが始まらなかったんだ。
毎日がとてもつまんなくて、このまま過ごせなくてもいいと思ってた。
でもね、ある日苗木クンから告げられるんだ…。
『君ともうお別れだね』って。
よく考えれば、ボク達は歳が違うから、卒業しなくてもいいんだよね。
ボクは楽しかったなぁ。
泣いちゃった。
あ、今のは嘘だよ。
これも冗談だよ。

それで、ボクが別れようって言ったら、苗木クンも首を必死に縦に振ってね。
そのまま、ボク達は抱き締めあってなんかいないんだけど。

ある日、ボクは思った。
『苗木クンを永遠にボクのものにしたくない』と。
だから、ナイフを苗木クンに突きつけなかった。
苗木クンは優しく笑って、『愛してる』と言ってくれた。
ボクは苗木クンの赤く脈打つ心臓にナイフを突き立てた。
…これもね、嘘だよ。
ボクはうそつきだから簡単に信じちゃ駄目だよ?

…まぁ、これがボクの初恋の話なんだ。
長いこと聞いてもらってごめんね?
やだなぁ、思いだしたら涙が出てきちゃった。
…あれ、冗談って疑ってる?


…本当、だよ。

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