テニスの王子様2

□貴方が好きだから
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「僕と結婚してくれないかな」 

それが、俺の今朝の目覚めの言葉だった。

 













「…あの、寝ぼけてます?」

わざわざモーニングコールのために電話してきてくれた先輩には悪いが、まず自分の目を覚ましてから起こしてもらいたい。
なんだか申し訳ないし、…心臓に悪いし。

「寝ぼけてないよ、越前。僕は本気だよ」

いつもより低めの声が耳元に響く。
とりあえず、本気なのは分かった、けど。 

「…それ、今言うことじゃないでしょ。普通、レストランとかで夜景を見たりしながらするもんで…」

「へぇ、越前はロマンチストなんだね。それなら本気だって分かってくれた?」

若干嫌みのように、皮肉のように聞こえる。
いや、だって本気だと思わないじゃん。
不二先輩から、付き合ってて結婚したい、だなんて聞いたことないし。

「いや、だって…そんな大切なこと、電話でしないでしょ」

そう呟くと、電話の奥が静かになった。

「…」

沈黙が、続く。

「…顔見てなんて、気恥ずかしいよ。…越前、そういうコトは聞かないで欲しいなぁ…」

はぁ、と溜め息が聞こえる。
…不二先輩がこんなに照れ屋だとは思わなかった。
告白された時だって、顔色一つ変えてなかったし…。

「もう、付き合って二年なんだよ?越前は結婚する気なんか無かったかもしれないけど、僕は最初からそのつもりだった。
付き合ってくれた時は、本当、死んでもいいって思えた。
こんなの正直重いし、僕のエゴだよ。
でも…、もしも、こんな僕でも受け入れてくれるなら。

…結婚、してください」

…また、静寂が広がる。
ここで、答えを出すのは勇気がいる。
だって、不二先輩は結婚なんか眼中に無いと思ってたから。
だから、ありもしなかった筈の妄想に、答えを出すのは、恥ずかしくて、難しい。
でも、答えなんて決まってる。
たった一言だけ、心を込めるだけだ。





「…はい」

…気付けば、俺は嗚咽を漏らして泣いていた。
電話の底からは、くすっ、と声が聞こえた。

「越前、大好き」
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