テニスの王子様2
□日本人だもの
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「なぁ、謙也。どうして日本人は電車の座席を若干開けて座るんや」
朝、電車に乗った俺を迎えたのはおはようという挨拶でもなく、白石の純粋な疑問やった。
「ぇー…それ、答えのいる質問なんかなぁ…。」
「気になるねん。だって、詰めたらいっぱい人入るやん。無駄ないやん。完璧やん。なのに、なんでせぇへんねんやろって思ってしまうねん」
朝からそんなこと考えてる白石って、やっぱちょっとおかしいんちゃうかな。
てか、そんなこと疑問に思ったことすらなかった。
俺は頭をちょお傾げると、考えてみることにした。
「…日本人は、“ケッペキ”っちゅー奴やからちゃう?」
「…やから、他人とぴったりくっつくん嫌なん?」
「そーちゃうか?日本人って世界でもめっちゃ綺麗好きな方言うし」
白石は、なんていうか…こう、眉間に皺を寄せて、目力ハンパなくして、俺を見た。
なんか、めっちゃ怖いねんけど。
ほら、あれ。目悪い人が遠くのもん見るときと同じ顔してる。
「な、なんやねん。怖いっちゅー話や」
とりあえず白石の眉間にデコピンを食らわすとやっとその顔をやめた。
眉間をさすりながら、俺を見る白石。
あ。今度は拾って欲しそうな子犬みたいな顔しとる。
「っ…い、たいやんけ!謙也のあほっ!
大体、人間他人とセックスするんやで!?ケッペキとか言ってる暇ないやろ!」
「ちょ、白石!ここ電車の中やで、大声でそんなこと言うなや!」
「…ごめん」
あー、もうほら。周りの人がちらちら見とるやんか。
白石のあほ。
「…でも、ケッペキ言うんやったら、謙也は俺とくっつくん、嫌なん?」
「はぁ!?」
そしてまた突然の問いかけ…。
白石、やっぱおかしいわ。
そんなん。
「そ、そんなん、嫌やったら付き合ってへんやんか…」
あー、恥ずかしい。
白石のせいや。
朝から、こんな顔真っ赤にしやなあかんのは。
「…謙也、大好きやで」
「ここ、電車の中やで?…ほんま、恥ずかしい奴…」
「今この場でちゅーしたい」
「白石、俺ケッペキやから無理やわ」
「…謙也のあほ」
「…だって、俺日本人やもん」