テニスの王子様

□金髪よ、常に笑ってくれないか
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「引いたり押したり謙也です!」

「3点すわ」

…今、謙也さんの部屋に来ている。 
そんで、謙也さんの新しいギャグの開発に勤しんでた。
…でも、謙也さんつまらんねんけど。
もう帰ってええかな…
これ聞いてるくらいやったら家でブログのネタ考えてる方がよっぽど有意義やわ。
俺は頭を少し抱えると、ケータイをいじっていた。

「…自分、ちゃんと考えてる?」

「謙也さんのギャグをなんで俺が考えやなあかんのですか」

「…自分の恋人がオモロない奴でもええんか!?」

「別にええですよ、謙也さんは謙也さんですし」

「…ぇ、ちょ、財前」

はっ。
なんとなく相槌打っとったら、なんかこっぱずかしいこと言ってもうた。
即座に顔を伏せる。

「せ、せやな!財前の言うとおりや。
俺の魅力は、ギャグじゃ語られへんよなぁ……」

謙也さんも気まずそうに返事を返す。
会話が続かず、気まずい空気が流れる。

「…な、なーんて…ね?
…謙也さん、本気にしすぎっすわ」

とりあえず、場を和ますために言う。
すると謙也さんはぱちくりと目を見開くと、溜め息を吐いた。

「なんやびっくりしたやんか…財前、もっと分かりやすく言ってくれ」

でも、謙也さんがあからさまに凹んだ。
笑わない謙也さんは、なんだか新鮮で、そしてなんだかむず痒かった。

「…ざ、いぜんビームっ!」

「…へ?」

「…謙也さん、笑ってくださいよ。
今むっちゃ恥ずかしいんですから」

「へ、ぁ、すまん!
あ、はは…おもろいで、財前」

やっぱ止めとけばよかった。
だって、謙也さんが笑ってないなんて。
そんなん…嫌やった。

「…謙也さん。笑ってくれんと俺がこんな風にちょーし狂いますからね」

「そりゃ大変やな。よっし、財前よりおもろいギャグで爆笑させたるからな!」

「…楽しみにしてますわ」

…俺も、人のことが言えんなぁ。
口元だけ緩めると、謙也さんの笑顔を見つめながら写メを取った。
『この笑顔は、俺だけのもんやからな』
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