テニスの王子様

□大変な勘違い
1ページ/2ページ

「柳生、実は俺…妊娠検査薬を使ったんじゃよ…」

「男なのに何してるんですか」

「それはどっちでもええ。
…んで…陽性が出たんじゃ…」

よう、せい?
妖精ではなく?
私は柄にもなく、そんなことを思ってしまいました。
だって、仁王くんは男で、ついこの間性行為に及びましたが…
子供が、出来たなんて。

「…仁王くんは女だったんですか?」

「違か!…でも、出来てしもうたんじゃ」

そう言う仁王くんは今にも泣きそうで。
とても不安そうな顔をしていた。
私はそんな仁王くんを抱き寄せた。

「…や、ぎゅ」

私の腕の中に在る仁王くんは安心した顔をしていて。

「責任、取ります…
結婚、出来るか分かりませんがしましょう…!」

そう言って、目を瞑った。










「…柳生、申し訳ないのじゃが、子供、出来とらんぜよ」

…夢見心地に浸っていた私の身体が、急に熱を帯びだした。

「仁王くん…」

わなわなと震える感情を私は抑えることが出来ません。
仁王くんは、まずいとでも言うように苦そうな顔をしています。
 
「す、すまんぜよ。別に柳生を騙そうとしたんじゃなか。 
ただ、嘘でええから。
言葉でええから。

柳生と、結婚したかったんじゃよ」

「…言葉でなら、いくらでも言えるのに…」 

ばかだなぁ。と思った。
結婚なんて、出来もしない夢を見る仁王くんを。

「だって…っ。俺達、幸せになれんからのぅ…」

泣き出す仁王くんの頭を優しく撫でる。
なんで、仁王くんはこんなに可愛いんだろう。
熱く疼いていた身体が、仁王くんを欲しいと叫んでいた。
私は優しく仁王くんを押し倒す。
仁王くんは目をぱちくりさせていていた。

「…じゃあ、本当に子供が出来るまで、愛して上げましょうか?」
 
私が耳元で囁くと、仁王くんはくすぐったそうに喘いだ。

「…柳生、俺くらいぜよ。柳生をこんなに愛してるのは」

「そうでしょうね」

くすっと笑うと、仁王くんは嬉しそうに笑いながら目を瞑った。
その無防備な姿を晒す仁王くんに、私は紳士らしく、口付けをした。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ