夢小説(他武将)

□秘密(関平×関銀屏)
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大兄上と一緒に眠ったり、お風呂に入ったりできなくなって何年たったのだろうかと関銀屏は思い返していた。

関平は実の兄弟ではない。

銀屏が幼い頃に関羽に気に入られて養子になったのだ。
これから兄になるのだと連れてこられた関平を見て、とても嬉しくてお嫁さんになると言ったことも覚えている。
実の兄たちより優しくて頼りがいのある関平からべったりくっついて離れなくなった。



関平にお願いすれば大抵のことは叶えてもらえた。



ただ一つ関平のお嫁さんになるという事以外は。









銀屏は屋敷の中を走り回っていた。
「大兄上はどこ〜?」
偶然見つけた関索に尋ねてみた。
「あの人の所じゃないの?」
銀屏の眉間に皺が寄る。







あの人とは、関平の戦死した友人の妻のことである。
彼女は子供を抱えて必死に働いている。
そんな彼女を見かねて関平が何かと世話を焼いていた。
元々世話好きな性質のためか嬉々として友人の子をあやしている。





銀屏の頬がみるみる膨らんでいく。
関索はそれを見ながら笑った。
「大兄上もお年頃なんだから妹のお世話係から解放してやろうよ。あの人と大兄上って案外お似合いなんだよ」
唇が尖り始めた頃に、兄弟たちの父親である関羽が屋敷に帰宅した。

「関平はどこにいる?」
「例の彼女の所です」
関索がそう答えると関羽は少し嬉しそうだ。
奥手な関平が女性の所に通っているという事実が嬉しいのだという。
そのうち父親が結婚をすすめるのではないかと銀屏は心配していた。
「大兄上には相応しくないよ!」
ふと本音を漏らす娘の一言に軍神関羽と言えども、苦笑を漏らすしかない。





そんな家族の前に、関平が帰ってきた。
「父上、お早いお帰りですね?只今戻りました」
父親に挨拶をすませた瞬間に銀屏が背中から抱きついていく。
「大兄上、私のお箸は?」
背中から甘えたような拗ねた声が聞こえて関平はハッとした。
まだ銀屏に頼まれた箸を探していなかったのだ。
「ごめん。最近、忙しかったんだ」
関平の腰に緩やかに回されていた銀屏の腕がぎゅっとしまった。
「いだだだだだだーっ」
怪力の銀屏に締め付けられると並の武将でさえ敵わない。
関羽と関索はやや気の毒そうに関平を見ていた。

「あの人の事ばっかり」
小さな声でそう言った銀屏の声は関平だけには聞こえていた。
「そうだ。お箸は今度探しておくよ。その穴埋めに明日遠乗り
に行くかい?」
銀屏の機嫌が急上昇する。
「ホント!やったあ!」

関羽はそんな光景を見ながら、子供の世話が得意な関平の結婚相手は、やはりあの女性がいいだろう。もしかすると急に大きな孫ができるかもしれないと微笑ましく思うのだった。
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