忘れ物(仮)

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ドキリと一瞬心臓が止まった。
「どういう意味ですか…?」
この人は一体私の何を知っているのか。
何故そんな事を聞くのか。
ギュッとズボンを握りしめる。

「私が貰った書類には、16歳以下の記録がない。」
「それだけであのような質問を?」
「いや、それだけではない。」
「!」

やはり何か知っている。
だがボロは出していない。
と言うか、特別な能力など持ち合わせていないので
ああいう言い方をされるはずがない。

「君は外(壁外)へ言ったことがあるだろ?」
「!?」
あれは言ったことがあるというより
元からその場にいたのだから、行ったという事になるのか?
でも、なんで知っている?
あの場に人間はいなかった。
と言うより、全滅していた。

「・・・。」
「黙っていると言うことは、固定でいいということでいいかい。」
「・・・。」
いや、この状況で何とも言えるわけないじゃん。


いやな汗が背中が流れる。
「…カート。」
「はっ!失礼します。」
エルヴィンさんが誰かの名前を呼んだ途端、いきなり入ってきた若い男性。
「だ・・・れ?」
「彼は、君のことを一番把握している人だよ。」
「!」

私のことを一番知っている…?
会ったことも話したこともないこの人が…?
「君は僕の命を助けてくれた、命の恩人さ。」
「は・・・?」
うぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
たっ助けた!?この人の命を??
そんな覚えは1ミリたりともない。
「私、助けた覚えなんて…。」
「君は立体起動も着けずに2体の巨人を倒した。」
「!?」
ガタッと勢いよく立ちあがった。
その行動に若干驚きながらも私を見つめる二人。

「な、なんでその…ことを…。」
「僕はあの時、木から落下して草の茂みに落ちてしまった。
悪いけど、君の行動をすべて見せてもらった。」

・・・。
オ―マイガッツ、プライバシーの侵害だろそれ。

「普通ならできない。」
「いろんな仮説があるが、場合によっては巨人だと言う可能性が…」
「それは違う!」

違う

「違い…ま…す。わっ私は…」

私はあの子達とは違う。
でも、人間しか喰らう事にしか頭にない巨人たちは私を食べなかった。
「私は…。」

人間=喰らう

じゃぁ、その逆の私は…?


















       ナニモノ?



「人間・・・です。」
「・・・そうか。」
「此れまでなかった異例の事態だからね。
疑ってすまなかったね。」
疑わない・・・。
何故??

「上に報告しないのですか・・・?」
「そうする必要があるのかい?」

あの瞳は嘘を言っていない…はず。
いや、勘だけどね!
でも懸けてみるか、
いずれ調査兵団一員の命を背負う人。

「・・・エルヴィンさん。」
「なんだい?」
「今から話すことは、信じられないかもしれません。」
「「!」」
「聞いてもらえますか?」
「・・・あぁ。」
「カートさんも。」
「・・・わかった。」

この人たちなら、私を信じてくれるかもしれない。
これも、なんとなくだけど!
二人の目が私に信じろって言っているような気がしたから。





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