BL

□お約束
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――有り得ない。

絶句、言葉がでない、そんな言葉しか思い付かないほど僕は混乱していた。

「ゆ、雄介…?一体、この服は…?」

わなわなと声まで震わせ、雄介に聞いた。

「あ、着替え終わりましたか?全く、小田桐さんは往生際が悪いんですから!着替えに何分かける…―」

ぶつぶつと言いながら扉を開けた雄介は、僕の姿を見て言葉をとめた。
当たり前だ、僕だってきっと言葉を失う。
こんな、女性もののワンピースを着た、知り合いの男なんて。

「はぁ、お前は一体何がしたかったんだ?男にこんなもの着せても、見苦しいだけだろう」

僕は短いスカートの裾を引っ張りながら呆れたように言う。
ゆったりとしたサイズのワンピースで、裾はスゴく短い。
ガーターでとめるタイプのニーソに、下着まで女性用。
腰周りはベルトで締められていて、くびれなどない男には少々辛いものがある。
女性が着たら、可愛いとは思うが男である僕が着るのはナシだろう。

「ほら、雄介。もう見苦しいから脱ぐぞ?だいたい、お前はなんでこんな服持ってるんだ?」

沈黙に耐えられなくなり、裾を翻しながら着替えに向かおうとする。
だが、それは雄介が僕の手をとったコトにより阻まれた。

「小田桐さん…」

「な、なんだ雄介どうし…、んっ」

雄介に握られた手を急に引かれ、くるりと半回転したと思ったら雄介に唇をふさがれていた。

「ん、んむっ、ゆ、雄介…っ苦しいっ…」

荒く深く、咥内を犯すかのように舌を動かされ、不慣れな僕は呼吸ができない。
酸素不足で、涙が滲み顔も赤く染まる。
僕はドンドンと雄介の胸を叩き、やめるよう訴えた。

「ん…っ、はぁ…」

やっと解放されたはいいが、体に力が入らず僕は雄介にくたっともたれかかる。

「ヤバいですよ、小田桐さん…。それ、そんじゃそこらの女なんかより、ずっと似合ってます」

――このままヤりましょ。

雄介は、低く響く声でそんな不吉なコトを囁いた。

「んんぅ…っ、は、雄介!やめ、ろ…っ、お前、頭、大丈夫か…っ」

「ひっでぇなぁ。正常ですよ?」

雄介は僕を布団に押し倒し、両腕を真上で固定し、見下ろすように覆い被さる。
しつこく何度もキスを落とすので、自由な顔や足をバタバタと動かし抵抗するが、雄介の馬鹿力にはかなわない。

「あー……やべぇ…。小田桐さん、本当にそれ似合いますね」

上からジロジロと舐めまわすように僕の全身に目をやる。

「だから、僕は男だっ!女性用の服が似合ったって嬉しくもなんともない!」

「いやいや、小田桐さん顔可愛いし、体細いし、女だっていってもわかりませんよ。つか、女より可愛いですよ」

「嬉しくないっ!」

馬鹿にしてるのか、と雄介を睨むも全然きいていないようだ。

「てゆか、腰ほっそー…。食ってます?」

そう言って、ベルトで固定されたあたりをゆるりと触る。

「少なくとも、お前よりは大分まともな食生活を送ってるつもりだがな。…っ、雄介お前その手付きやめろ」

「えー、なんでですかー」

さわさわと触れる雄介の手付きはかなり怪しくて、くすぐったい。
僕が軽く身をよじるとにやりと笑った。

「本当、小田桐さんて全身性感体ですね」

するり、とワンピースの短い裾から手を侵入させて、太ももあたりを撫でる。
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