BL

□このドS!
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「小田桐さん?またやったんですかあんたは」

雄介が呆れたような声を出す。

「また、ってなんだまたって」

僕は顔を歪めながらよたよたと歩く。

「またじゃないですか。本当あんたってお節介ですよねー。どんだけ他人に関わって怪我するんですか」

やっとのことで座り込みお茶を一口含む。
動かした腕が軽く痛んだ。
繭墨のところにくる依頼人の世話を焼いた挙句、事件に巻き込まれ身体中ボロボロだ。
至る所に打撲あとや痣があるし、全身ズキズキと痛む。

「仕方ないだろう?繭さんを怪我させるわけにはいかないんだから。それに、僕なら大丈夫だ」

本音としては、一回くらい、いや一回と言わず数回くらい繭墨もダメージを負えばいいと思わなくもないのだが、それはやはりダメだろう。
なんのために、僕がいるのか。

「大丈夫だなんてよく言えますね。そんな痛そうにしながら」

雄介は苦々しげに顔をしかめてため息をついた。

「まあ、痛いことに変わりはないが我慢できなくもない」

「でも俺個人としては小田桐さんに怪我なんてして欲しくないんですよねー。ほら、大事な恋人ですし?」

つかつかと近寄りながらそう言う雄介に少し恥ずかしくなる。

「どうしたらわかってくれますかね?…痛みが我慢できなくなればいいんですか?」

そう言うとぐっと、僕の腕をとって背後から抱き締めた。
身動きができないし、掴まれた腕が痛む。

「雄介ッ。やめろ、触るな」

ズキンズキンと歪に痛む身体を抱きしめられ痛みに呻く。
身体をよじって逃げようとするが痛みに負けて諦める。

「嫌ですよー。小田桐さんが、もうこんなことしないように、身体に覚えこませます」

そう言うと僕のシャツを脱がせた。

「おいッ!なに脱がせてんだ!」

抵抗しようと腕に力を込めた瞬間鈍痛が走った。
雄介は僕のシャツを遠くに放り投げると僕のわき腹あたりをなぞった。

「ひッ、う…ッやめ、ゆう…ッ」

雄介が触れている部分には、真新しい痣がある。
優しく触れてはいるが、執拗に触られると涙が滲んでくるほど痛い。
雄介の手が触れるたびにびくびくと身体が波打つ。

「も、やめろ、雄介…ッ」

「小田桐さんが、もうこんな怪我しないならやめますよ?」

僕だってしたくてしてるわけじゃない。
そう言い返そうと思ったが、背中の上部にある鬱血跡に舌を這わされ言葉に詰まる。

「あッ!ゆ、雄介、やめ、痛い」

「小田桐さん、なーにこんな跡つけちゃってるんですか。俺のもんなのに」

ちゅう、といくつか僕の背中に口づけし怪我ではない跡をつけていく。
きっと、背中は酷いことになっているんだろう。

「もー、仕方ないです、わかりました。これから、小田桐さんが怪我したら、それ以上に俺が跡を刻んであげます」

背中から首筋にかけて舌を這わせ、耳元で囁く。

「そんな、の、ダメに決まってるだろう…!」

繭墨と一生を過ごす僕は、怪我をしないなんて無理だ。
一体どれだけ跡がついてしまうのか想像もしたくない。

「いいじゃないですか、小田桐さん?せいぜい、怪我しないでくださいね?」

にやりと楽しそうに笑ってまた一つ、跡をつけた。
ぴり、と走る痛みに僕はしばらく半袖は着れないな…と遠い目で思った。


🔚

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