BL
□意外な特技?
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「―――、う゛」
ズキリ。鈍く身体に走る痛みに、僕は顔をしかめる。
身体が痛くて、起き上がるのが億劫だ。
だが、時間はすでに11時。
いつまでも寝ているわけにもいかない。
「小田桐さん?もう起きるんですか?」
コーラを片手に、雄介がベッドに近付いてくる。
「当たり前、だ。今何時だと思っている?だいたい、お前が昨日…」
「昨日、俺がめちゃくちゃに小田桐さんを犯したせいですよねーすいません。その点については悪いと思ってますけど、小田桐さんが可愛すぎるのがいけないんですよ」
僕の言葉にかぶせて、恥ずかしい台詞を途切れなく言ってくる雄介を一発殴ろうと身体を動かした瞬間、痛みで呻いた。
「小田桐さん腰痛いんですよね?俺、マッサージしましょうか!これでも、上手いほうなんですよ」
それは、そもそも誰と比べて、いや、誰に上手いと言われたのだろうか。
お前のせいだろ、と思わなくもなかったがやってくれるというんだから有り難く好意に甘えることにした。
「じゃあ、頼む。…俯せになったほうが、いいのか?」
「あ、はい、そうですねー。力抜いててくださいね?」
言うとおりに俯せになり、ふっと身体の力をぬく。
シャツの上から、雄介の手が触れる。
「ふ、ん…ッ、ふあ…、ッ」
首筋から肩のあたりを優しく撫でられて、くすぐったさから声が漏れる。
ぐ、ぐ、と力を適度にこめ僕の肩を揉む雄介の腕は確かによかった。
気持ちよくて、つい眠くなる。
「ん、んんッ…、あッ、雄、介ッ」
肩甲骨のあたりをぐりっと押され、びくっと身体が震える。
気持ちいいんだが、どうしてもくすぐったさが拭えない。
「小田桐さん、すっげーエロい声。誘ってるんですか?」
「ちが、うッ!くすぐったい、んだ…ッ」
つつつ、と雄介の指が肩から腰へと移動する。
「あ、ッ!ん、ふぅ…、ッ」
「力入れないでくださいよー」
「だが、力を抜くと、声、が…ッ」
吐息が鼻から漏れる。
くぅ…ッ、と犬が鳴くようなか細い声がでる。
「声くらい、いいじゃないですか。俺しか聞いてませんし?」
「馬鹿、そういう問題じゃ…、あッ!」
ぐりぐりと強く腰を押され、悲鳴じみた声をあげる。
「雄介…ッ、少し、痛い…ッ」
「ああ、すいません。力弱めますね」
少し弱まった力に、ふっと詰めていた息を吐く。
「小田桐さん、気持ちいいですか?」
「ああ、きもち、いい…、んん…ッ」
本格的に眠くなってきた。
昨日は、雄介のせいであまり寝れていなかったし。
身体の痛みもだいぶなくなった。
「………………小田桐さん。また、腰が痛くなったら、いつでもマッサージします。だから……」
「…ん、ひあッ!?」
うとうとと飛びかけていた意識を無理やり戻された。
ちゅ、と僕の首筋にキスをおとして、雄介は耳元で囁く。
「……もう一回、ヤらせてください」
――小田桐さんの声、俺の腰にキました。
ぐっ、と僕の背中に当たった雄介のものはひどく熱かった。
これは、明日もベッドの中で過ごすことになりそうだな、と他人事のように思った。
end