BL

□たまには、ね?
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※捏造です

「――忍野。なんか飲み物ないか?」

忍に血をあげて、珍しく忍野が上の階にいたので声をかける。
ここにあるのは水くらいだとわかっているがなにしろ暑い。
水でもいいから、早急に飲みたかった。

「あー…ちょっと待ってて。確か、下の階のどっかに置いてあったはずだから」

忍野は一瞬考えると、立ち上がった。

「え、下の階なのか?じゃあ、僕が自分で取りに行くからいいよ」

「いやいや、大丈夫。僕もちょうど飲みたかったし、行ってくるよ」

ひらひらと手をふり僕を制止させて、階段を降りていく。
取ってきてくれるっていうのをわざわざ拒否する理由もないから甘えるコトにした。

「お待たせ。はい」

なにやら英語で書いてある怪しげなボトルを僕に手渡した。
その横で、忍野も同じボトルを飲んでいるからまぁ、大丈夫だろうか。

「水じゃないんだな。一体これ、どうしたんだよ?」

「んー、ちょっとね。貰い物」

曖昧に誤魔化されたが、まぁ深く追求するコトでもないし、僕はボトルを傾けた。
炭酸飲料みたいだが、少し苦い。

「忍野…これ、なんだ?炭酸、みたいだケド…苦いぞ」

喉の渇きには勝てず、結局一本全部飲んでしまった後に言うのもなんだが、マズい。

「阿良々木くんには少し早かったかもね」

「はあ?何がだよ」

どくどくと鼓動がなぜか早まる。
息も苦しくなってきたし、顔が熱い。
身体も、熱い。

「はっはー、阿良々木くん顔真っ赤だよ」

「わかん、な…っ、急に、熱く…っ」

全身が心臓になったみたいだ。

「あー…阿良々木くんって、お酒弱かったんだねぇ」

「酒!?お前、これ…っ」

「うん、ごめん、それお酒なんだ」

僕に近付き、ボトルを持ったほうの手をとって悪びれなくそう言う。
呼吸が荒くなるし、目も潤む。
意識が朦朧としてきた。

「おし、のぉ…っ!」

ぎゅう、と忍野の手を握り見つめる。

「…っ、上目遣いにそのセリフはズルいよわざとなの?」

呆れたように笑って僕の頭を撫でる。

「おしの、ダメなんだ…僕…暑い…っ、暑くて、暑くて…」

僕は邪魔な服を脱ごうと、ボタンをはずし出す。
するとぎょっとした顔の忍野がそれをとめに入った。

「やだぁ!なんでとめるの忍野!暑い、暑いの…っ!脱がせ、て…っ」

いやいやと首を振り忍野に哀願すると、ぶちっと何かが切れる音がした。

「はっはー…。君、それは誘ってるようにしか見えないからね。もう、無理」

――可愛すぎる君が悪い。

がばっと忍野は僕の身体を抱き上げて、机を重ねかろうじて横になれるスペースをつくるとそこに下ろした。

「んっ、机、冷たくてきもちー…」

とろんとしてきた瞳。

「阿良々木くん…」

忍野が僕に覆い被さって、顔が近付いてくるのがわかった。
だけど、僕はもう眠くて…。

「……阿良々木くん?」

すー、と寝入ってしまった。
安らかに眠る僕の寝顔を見て、忍野はしばらく低く唸っていたが、やがて諦めたのか座り込んだ。

後日、据え膳だったと語る忍野は、ことある事に僕にお酒を飲ませようとするのだがあんまり記憶が残っていない僕は、ただ頭が痛いコトだけ覚えていて拒否するのであった。

end
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