BL

□愛の囁きを
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「小田桐、さん」

――あぁ、また…だ。

時折、雄介は壊れる。
何も映さない真っ暗な瞳で、僕の家に来るのだ。
そういうトキの雄介は必ず、愛情に飢えている。
僕は、雄介の願いを叶えたい。
こんなにも、愛情に飢えてるやつを放っておくコトは、できない。

「…雄介。とりあえず、入れ」

動こうとしない雄介の腕を軽く引っ張り、中に招き鍵をかける。
雄介を適当に座らせ僕はお茶を用意する。

「小田桐さん、小田桐さん…」

かたん、と雄介の分のお茶を置き、か細く僕の名を呼ぶ雄介を見た。
雄介はお茶には目もくれず、ゆらりと立ち上がると倒れ込むように僕を押し倒した。

「ぐッ、」

いつものコト、だが未だに慣れず僕は雄介の体重まで受け止め低く唸る。
雄介は僕の足の間に膝をたて、覆い被さるようにキスをする。
荒々しくて、呼吸もままならないキス。

「ふ、うん…ッ、ふぅ、」

呼吸ができず、視界がぼやけてきたトコでやっと雄介が唇を離す。
はぁはぁと荒い呼吸を繰り返す僕を見て、くしゃりと顔を歪めた。

「小田桐さん、小田桐さん…ッ」

雄介は泣きそうな顔をして、僕の服を中途半端にはぎ取っていく。
やがて雄介の指が僕のものに絡みつき、優しく愛撫しだす。

「ひあッ、雄介…ッ、ん、んん!」

僕はきゅ、っと唇を噛み締めて快感に耐える。
雄介は顔を僕の首もとにうずめ、何度も痕をつける。
ちり、ちり、とした軽い痛みと激しい快感の波に溺れないよう、僕は必死に雄介にしがみついた。

「雄、介ぇ…ッ、も、やだ、やめ…ッ」

絶頂が近く、ぎゅうっと雄介の身体を抱きしめると促すように強く動かされた。

「やッ、あッ、あああ―ッ」

あえなく、僕は雄介の手の中でイってしまいくてっと脱力する。
雄介は切なそうな目をして僕の頬に口づける。

「雄、介…。大丈夫、だ…なにも、もう、心配するコトは、ないんだから…」

な?と安心させるように雄介の頭を撫でながらそう言う。
雄介はくしゃりと顔を歪めながらも、僕に笑いかけた。

「ありがとう、ございます…。小田桐さんがいつも受け止めてくれるから、俺は…」

くいっと顎を持ち上げ、また深いキスをする。
舌を絡められ、どちらのかもわからない唾液が滴り落ち、呼吸が奪われる。
それでも僕は必死に応えた。

「小田桐さん、イイ、ですか?」

くちゅ、と音をたてて唇を離し、雄介は笑みを浮かべながら聞く。

「あぁ、まぁ、な。だが…その、もっと…優しく、してくれないか?」

かあぁ、と顔が赤らむのがわかった。
雄介も、驚いたような表情をしている。

「わかりました。努力しますよ」

くすっと笑って軽いキスをした。
すると、雄介は見せ付けるように僕の目の前で手についた白濁を舐める。
ぺちゃ、だとかくちゅ、だとかいやらしい音をたててなめとられていく。

「ゆ、雄介ッ。やめろ!そんなもの舐めるな!」

僕は雄介の腕をとり、唇から離す。
雄介はしばらく不満げに唇を尖らせていたが急に口元をつりあげ、僕に口づけた。

「んん!ふ、はあ…ッ」

ぬるり、と粘り気のある液体が喉を伝い落ちる。
それが、雄介が口に含んでいた僕の精液だと気付くまで少し時間がかかった。

「…ッ、う、え…ッ雄介、お前…」

「美味しいでしょ?小田桐さんの精液。甘くて、病みつきになる」

そういってすっかり力が抜けて離していた腕を口元に寄せ、また舐める。
僕は目元まで赤く染め、眉を寄せる。

「愛してますよ、小田桐さん」

――俺だけの、大事な、人。

優しく囁いてまたキスをする雄介の口はまだ僕の味がしたが、黙って受け入れてやるコトにした。

――僕だって、愛してるに決まっているだろう?

end
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