BL

□わざとなの?
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※捏造です

「待ちくたびれたよ阿良々木くん」

いつものように、忍野は胡散臭い笑みを浮かべて僕にそう声をかけた。

「お前が待ってたのは僕じゃなくて、これだろ」

僕は、ここに来る途中に買ってきたミスタードーナツを忍野に渡す。
なんだかんだで世話になってる忍野にはたまにミスタードーナツを買っていってやるのが最近の日常だ。

「ありがとう、阿良々木くん。キミも一つ食べるかい?」

むしゃむしゃとオールドファッションを頬張りながら僕にエンゼルクリームを手渡す忍野。
僕が一口、それをかじろうとした瞬間、鋭い一撃が顎にヒットした。

「ぱないの!お主様、儂にミスタードーナツを食べさせないで小僧に渡すとは、一体何事じゃ!」

顎に当たったのは、どうやらミスタードーナツの匂いをかぎつけ影から飛び出した忍のアッパーだったようだ。

「忍、お前なぁ…。ちょっとは出るトキ考えろよ。見ろ、僕の姿を。お前のせいで、べったべたじゃないか」

忍のアッパーのせいでエンゼルクリームの中身が飛び出し、僕の顔や服にクリームがべっとりと付着している。

「む、それはすまなかったのぅ、お主様。儂としたコトが、ドーナツを粗末にするなんてあるまじきコトじゃ」

「お前は、僕よりドーナツが大事なのか」
いや、これは聞くまでもないコトだな。
とにかく僕は忍のせいでべとべとになった服を脱ぎ、指についたクリームを舐める。

「…はっはー、阿良々木くん、キミは本当に危機感がないねぇ」

――わざとなのかい?

珍しく忍野がちょっと困った声をあげて、僕のほうを見た。

「何が言いたいんだ?」

僕が首を傾げてそう聞くと、隣ですっかりドーナツを平らげた忍が呆れた声をだす。

「馬鹿じゃのう、我が主様は。大方、その白いクリームが身体中についたお主様が精液塗れみたいでエロいと言いたいのであろう、小僧?」

「お前の頭の中にびっくりだよ!だいたい忍野がそんなコト思うわけないだろう!」

僕があまりにも堂々とした忍の言い方に少し顔を赤らめて忍野を見ると、あいつはほんのりと顔を赤く染めて、僕から目線をはなしていた。

「お、忍野?まさか、なぁ」

「…はっはー、まさか、そんな、ねぇ。…ごめんなさい、その通りです」

決してこちらを見ない忍野をずっと睨み続けていたら、あっさりと白状された。

「だって阿良々木くん、エロすぎるよ」

――このまま襲ってもいい?

ぺろりと僕の顔についたクリームを舐めとりそう囁いた。

――いいわけ、ないだろっ!

僕の叫びは、どうやら受理されなかった。
end?
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