BL
□あいすくりーむ
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「暑いー…。………小田桐さん、夏ってどうしてこうも暑いんすかね?カミサマが決めたんすか?そのカミサマ、殺します」
「待て待て待てッ!お前は何を一人で突っ走って物騒な考えにたどり着いてんだ!」
僕は今日、自室で暑さに耐えながら掃除をしていた。
僕の自室は、今クーラーが壊れていて、部屋の温度は茹だるように暑い。
なのにも関わらず、雄介はわざわざ僕の家にきてくつろぐ。
「ダメだあっちぃーッ!耐えられるかッ!小田桐さん、こんな暑い中掃除するなんてドMかなんかですかッ」
ガバッと起き上がったかと思えば、窓を雑巾がけしていた僕に向かってそう叫んだ。
「僕はドMじゃないし、お前は家に帰ればいいだろう。ここよりは暑くないはずだ」
額に浮かんだ汗を拭いながら、僕は呆れた声をだす。
「よしッ、俺ーちょっくらコンビニ行ってきますッ」
僕の話を聞いているのかいないのか、いや聞いていないんだろうが、雄介はそれだけ叫ぶと早々に駆けていった。
コンビニに何の用があるかは知らないが、静かになったコトだし、僕は掃除を再開する。
後は窓だけで終わりだから、これが終わったら休憩しようと決めて動く。
「ただいま帰りましたーッ!」
がしゃんと大きな音を立てて扉をあけ、雄介が帰ってきたのはちょうど僕の掃除が終わったトキだった。
「遅かったな雄介。一体何してたんだ?」
「いやー、ちょっと買い物に出たつもりがあら不思議。コンビニって、涼しいんすねなかなか出れませんでしたよー」
あははと笑いながら、雄介は手に持った袋をぷらぷら揺らす。
そして中から何かを取り出すと、一つを僕に手渡した。
「…アイス?」
「そーっす。暑い日はこれですよねー」
そう言いながら、雄介はもう袋を開けて中からアイスを取り出してかじっている。
ソーダ味、とかかれた何の変哲もないアイスのゴミをゴミ箱に捨てる。
「……おい雄介。なんで僕とお前でアイスの種類が違うんだ?」
僕のは練乳とかかれた、丸い棒状のアイスのようだ。
明らかに味が濃いし、暑くて渇いた喉には向かない。
「んー、それはですねー、俺がそれを食べる小田桐さんを見たかったからです」
そう言って手早く僕のアイスを奪うと、袋を破いて僕の口に入れた。
「んむっ!?ゆ、雄介ッ」
無造作に突っ込まれて、口いっぱいに甘ったるい匂いが広がる。
すでに溶けかけのアイスは、ベタベタしていて不快だ。
雄介の手や、僕の顎を伝ってポタポタと液が零れ落ちる。
これはまた掃除か?と、早くも嫌になりかけながらもこれ以上零さないように必死で舐める。
雄介は手を引く様子もなく、ずっとこちらをにやにやと見ている。
「ふあ…、んッ、ん、」
雄介がぐいぐいとアイスを押し込んでくるせいで、僕は軽く呼吸が苦しい。
どろりと、ベタついたアイスがどんどん溶け出しているし、僕はもうベタベタだ。
やっとのコトでアイスを全部食べ終え、雄介が手を引いた。
「いいっすねー小田桐さん。これぞまさに俺の見たかったもの」
僕が返事をする前に、雄介の指が口に入った。
「小田桐さんのせいで、指ベタベタになったんで舐めてください?」
にやりと口角をあげ、僕の舌を蹂躙する。
僕は睨み付けながらも、雄介の指をなめあげた。
「はいッ、ありがとうございましたーッ。それにしても小田桐さん、エロいっすねーやっぱり小田桐さんには白が似合います。顔射とかしたら、んな感じなのかなー?今度試してみましょーねー」
その言葉を聞いて、僕は雄介がなんでこのアイスを食べさせたのかがわかった。
お前の頭の中はエロいコトしか入ってないのかと罵倒したくなる気持ちを抑えて、僕はベタベタになった部分をふく。
もう二度と、雄介の前でアイスは食べないと誓いながら。
「あッ、小田桐さん、このアイス、当たりだったみたいですよ?よかったですね、もう一本食べれますよ」
「もうそのアイスは食わんッ!」
ああーッ、と悲痛な声をあげる雄介を無視して僕は当たり棒をへし折った。
end