BL

□April fool
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※高校時代です

「あ、あさと。お前一体今までどこに行ってたんだ?」

今はお昼休み。
僕は購買で買った焼きそばパンをかじりながら首を傾げる。
あさとは、お昼休みが始まったとたん、女の子からの呼び出しをくらった。
そして僕に自分のサンドイッチを手渡し、行ってくるとだけ告げて消えたのだ。

「まぁ、ちょっとね。ていうか小田桐。お前それで気付かないなんてやっぱりどこか抜け出るよ」

馬鹿にしたように笑いながら、僕に預けていったサンドイッチをとる。
何事もなかったかのようにサンドイッチを口にするあさとに、僕はちょっと小言を言いたくなった。

「お前な、人にものを預けて消えたんだ、なにか一言あってもいいだろう!」

あさとのこういういい加減な性格は、直したほうがいい。
僕はあさとのほうを向き、語尾を荒げてそう言った。
あさとは一瞬、めんどくさそうな顔をしたが、何を思ったのか瞳が怪しく光った。

「無粋なコトを聞くなよ、小田桐。女の子に呼び出されるなんて、告白に決まっているだろう?」

やれやれといった感じでそう言うと、またサンドイッチに向き直り口にいれた。
ふつーに言っているが、僕は内心少し焦っていた。
僕とあさとは付き合っている。
所謂、恋人だ。
だが、それを知るものはもちろんいない。
あさとはモテる。
言われてみれば、聞かなかっただけでたびたび女の子から呼び出されるコトが、あさとにはあった。
もしかすると、それは全部告白だったのかもしれない。
あさとは僕の何がよくて付き合ってくれてるのか未だによくわからないし、不安になるコトは多々ある。

「可愛い女の子だったよな……。あの子、結構有名だもんな」

「…何、小田桐。俺がなんて返事したか、聞かないの?」

食べ終わったらしいサンドイッチの袋をくしゃくしゃと丸め、僕を見上げる。

「僕なんかより…女の子のほうがあさとはいいんじゃないのか?」

僕なんかがあさとを縛るのは勝手すぎる。

「……ふぅん?小田桐は、俺が女の子と付き合ってもいいんだ?」

いいわけがない。
僕だってあさとが好きだ。
でも、あさとのコトを考えるなら、そういうコトが頭を過ぎらないわけがない。

「……じゃあ、よかった。実は、さっきの子の告白、OKしちゃったんだよね。小田桐にどうやって言い出そうか迷ってたんだケド小田桐から言ってくれて、手間が省けたよ。ありがとう」

にっこりと笑って、あさとはサンドイッチのゴミを捨てるためか、立ち上がり歩き出した。
振り向いても、くれない。
僕はじわりと瞼が熱くなるのを感じた。
気付くと、僕は走り出してあさとの腕を掴んでいた。
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