BL

□お約束
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「小田桐さん、約束でしたよね?」

にっこりと、今の僕には悪魔の微笑みにしか見えない笑みを浮かべ雄介はジリジリとこちらに歩み寄ってくる。
雄介の手には紙袋が握られていて、中身が見えないのがまた恐怖心を煽る。

「ゆ、雄介…一応、確認しておくが…その紙袋の中身は僕にか?」

「当たり前じゃないですかっ。俺が勝つ、ってわかりきってましたからねー。あらかじめ用意してたんです」

雄介の笑顔を見て、紙袋の中身がまともじゃないコトだけは確定した。

「はいはい、つべこべ言わずにさっさと着てください!約束ですから」

どん、と紙袋を押し付けられ部屋から出される。
そのまま扉を閉められ、どうやら着替えるまで出す気はないようだ。
こんなコトになるなら賭けなんてするんじゃなかった…、そんな思いが頭を駆けめぐるが後悔しても、もう遅い。

初めの原因は、繭墨だった。
繭墨の退屈がピークに達し、偶然遊びにきていた、これまた退屈な雄介が繭墨の煽りに乗っかったのだ。

―ただ単に遊ぶだけではつまらない、何か賭けでもしよう―

確か、そう言ったのは繭墨だ。
言い出しっぺにも関わらず、早々に遊びからリタイアした繭墨が、僕と雄介の遊びに盛り上がりが欠ける、と言って勝ったほうが負けたほうに命令できるというルールを付け加えたのだ。
そうしてやった一戦で、僕は雄介に負けて僕の家まで移動させられこうなっている。
……こうやって考えていると、原因は全て繭墨にあるような気がしてきた。
頭痛がしてきた気がして頭を抱えると手に持った紙袋がガサッと音をたてた。

…ぐだぐだ言ってても仕方ない、負けたのは僕の責任だ。
そう自分に言い聞かせて、紙袋をあけた。
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