桜、香る。


□4話
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「私、外に出てみたいです!!」


「だめの!!外は危ない、の!!」


義元から拾われてはや数か月。
ずっと今川家の屋敷にいる明日香は、外が憧れになっていた。


「なぜの!?、なぜそんなに外に行きたいのか、の!!」


「それは……。」



義元は彼女の顔を覗き込み様子をうかがっている。


その答えは、小太郎だった。



いつも風が吹くように現れ、去っていく。
彼が住む世界はどんなところなんだろう。
そう思ったのがきっかけ……。



自分のことを話さない小太郎、もう会ってから数か月くらいたつのに、彼のことがわからない



彼がまとっている空気はこの今川家の人の空気と違う。

本当に、オバケなんじゃないかなと思うほど……。


「とにかく、ダメなものはダメじゃ!!」



拾ってくれたのはありがたいけれど、一回もこの家の外に出してくれたことはない。

自分の部屋から、元気そうな村人を見るだけ。

少しくらい、ヨシ兄様は私のいうことを聞いてくれてもいいじゃない。
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