物語

□第3話
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「じゃあ、貴志くん。
案内よろしくね。」

「はい。」


まずは町の方を案内することにした。

ニャンコ先生も散歩ついでに連れて行く。

「ちょっと買いたい物もあるけど、短時間、少量で済ませるからね。」

「時間かかっても大丈夫ですよ。」

「ありがとう。」


町で店の案内をする。


「ここが100円ショップで、
ここが塔子さんがよく買い物するスーパーです。」

「そうなんだ…。
貴志くん、ちょっと100円ショップ寄っていい?」

「はい。
先生はここで待ってろよ。」


おれと優里さんは100円ショップに入った。


「何か買うんですか?」

「白い小皿がほしいなって思って。
えーと、食器売り場は…。」


食器と書かれた、天井から下がっている看板を見つけた。


「食器はあっちですね。」

「あ、本当だ。ありがとう。」


食器売り場で白い小皿を探す。

白い小皿と言っても、
模様があるものや大きさがいろいろある。


「このくらいかな。」


優里さんが手に取ったのは、
真っ白な、模様も何も書いてない小皿だった。


「貴志くんは何かいいものあった?」

「いえ、何も。」

「じゃあ、私これ買ってくるね。」


優里さんはその小皿を1枚だけレジに持って行った。


「お待たせ。案内の続きお願いね。」


その後、優里さんの買い物はなかった。

本屋、ゲームセンター、喫茶店、雑貨屋、服屋、CDショップ…おれが知っている限りで案内した。


「僕も最近来たばかりなので…案内できるのはこのくらいです。」


優里さんの役に立てただろうか。


「そっか。ありがとう、充分だよ。
あとはお互い、いいお店をみつけたら情報交換しようね。」


情報交換か…。
ちょっと面白そうだ。


「さて、と…。
貴志くん、今案内してもらった所以外でおすすめな場所ってある?」


と、いうことで
町以外も案内することにした。

まず、案内したのは……。


「七辻屋?」

「ここの饅頭、美味しいんです。」

「じゃあ、塔子さん達にお土産買って帰ろうか。」


優里さんは饅頭を塔子さん達へのお土産の分と、それとは別に3個買った。


「はい、貴志くんの。案内してくれたお礼。」


と、優里さんは饅頭を1個くれた。


「割に合わないかな?」

「そんなことないです。
いただきます。」


優里さんは饅頭を1個包みを取った。


「で、これはニャンコ先生の分。」


ニャンコ先生は差し出された饅頭にかぶりついた。


「ダイエット中でも、ニャンコ先生だけ食べられないのはかわいそうだし、
今日は特別ってことで。」

「何でニャンコ先生が饅頭食べるって……。」

「だって、ニャンコ先生落ち着きなくなったし。お饅頭ガン見してたし。
お饅頭食べるなんて、面白いね。」


先生、頼むから猫らしくしてくれ。


次に案内したのは八ツ原。


「ここにはおれの友人がいるんです。」

「この森の中に家があるの?」

「家というか、お寺が。」

「家がお寺なんだね。
ちょっと興味あるかも。」


中級達が木のかげからこっちを見ていた。

おれは、優里さんに気づかれないように手を振った。


「おれのおすすめな場所、好きな場所はこのくらいです。」

「いい所だね。ありがとう。
さて、そろそろ帰ろう。」


家に帰って、塔子さは優里さんのお土産を喜んでいた。

優里さんは昨日出来なかった塔子さんの手伝いをして、

おれは、明日の学校の準備をした。

夕食の後はまた名前を返した。


そして、翌日。


「いってきます。」

「いってらっしゃい。」

「気をつけてね。」


塔子さんと優里さんに見送られて、学校に行った。


「夏目ー!」


後ろから西村と北本が来た。


「西村、北本。おはよう。」

「おはよう、夏目。」

「おい、夏目!」


北本は挨拶してくれたが、西村は肩を掴んできた。


「昨日一緒にいた、かわいい美人は誰だ!?」

「は?」

「西村のやつ、ずっとこうなんだ。」


かわいい美人って何だ?

昨日一緒にいた……?


「あぁ、優里さんのことか。」

「名前呼びなのか!? まさか、彼女!?」

「西村、落ち着け。」


北本が暴走する西村をなだめる。


「そんなんじゃないよ。
優里さんは、塔子さんの遠縁で、
一昨日から一緒に住んでるんだ。」


おれの説明を聞くと、西村はまた暴走した。

羨ましいとか騒いでいる。


「西村はほっといて、行こうぜ。」

「……そうだな。」


そっとしておこう。

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