参(2015)
□願イ叶ウ
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「土方さん、こんなところに座って何してるんですか」
「……星、見てんだよ」
「ずうっとここで、星見物?」
「悪いか」
「身体冷えちゃいますよ」
「別に、平気だ」
「じゃあ僕が、温めてあげましょうか」
「や、め、ろ 」
「ふふ。……ああっ、流れ星っ!」
「んっ…?」
「ねぇ、見えた?見えたでしょ?土方さんにも」
「……いや」
「ふうん、そっか。やっぱり」
「何だよ」
「心が澄んだ人でないと、見られないって言いますもんね」
「ああ?どういう意味だ」
「だからぁ、心の中がドス黒いひと……あ、いたっ!!」
「流れ星なんざ、さっきから何度も見てんだ、馬鹿っ!」
「ねぇ土方さん、流れ星にお願いすると、願い事が叶うんですって。知ってました?」
「知ってるが、下らねえな」
「そうかなぁ………あっ!!
土方さんをいっぱい抱けますように〜っ!」
「んなっ!?」
「はあ……良かった。流れ星に願い事、間に合った」
「ば……かやろっ!突然…んな大声出しやがってっ」
「だって、このくらい出さないと、お星様にはとどかないでしょ?」
「……っ」
「土方さんも、お願い事したほうがいいと思うけどなぁ。
鬼って言われませんように〜とか、眉間のシワがとれますように〜とか」
「………」
「あれ、土方さん?」
「て、てめえの願い事はなぁ……意味、ねぇんだよ」
「意味ないって?」
「あ……」
「なになに、どういうこと?」
「ちっ……、叶ってる願いなんざしたって……仕方ねぇ」
「土方さん……それって」
「あ……っ、だ……だから……っ」
「ふっ、可愛い」
「な……に」
「すごく、可愛い」
「ば、馬鹿にしてんのかっ」
「僕、意外と心配症だから。流れ星にまで、願掛けしたくなっちゃうのかな」
「総司……」
「それくらい、貴方が好きだってこと」
「……カッコつけてんじゃ、ねぇよ」
「土方さん、好き……大好き」
「あっ……こら、総司」
「……今宵は……ダメ?」
「総司」
「お願い……土方さん」
「だからもう、お前の願いは……叶ってるって言ってんだろ」